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"四十九日の遺言" 第16話

遺言無効確認の協議は、柴崎の証言をにいた。彼は懲戒を恐れて黙っていたが、正隆から「兄が承したと言え」と繰り返し求められたメールを保していた。本文差し替え、彦へ全ページを読ませていないことも正式に認めた。

病院の護記録、プリンター履歴、タブレットの原稿、柴崎のメール。それぞれ単独ではくても、順に並べるとつの流れになった。彦は静へを残す遺言案を作った。正隆は枚を差し替え、体調の悪い兄へ署名欄だけ確認させた。柴崎は違を見過ごした。

正隆はなお、第案も完成した遺言ではないと争った。法にはその能性がある。子文だけでは正式な遺言にならず、差し替えられた遺言を無効にしても、第案がそのまま採用されるとは限らない。結果として法定相続になれば、静と澄子、正隆の権利関係は複雑になる。

静はそこで、勝つことのを考え直した。すべてを自分名義にすることが目ではない。はすでに自分の物であり、の建物については夫のと自分の負担を反映した解決が必だ。澄子の活を奪う必もない。

調で静は条件を提示した。正隆は相続分を放棄し、正に取得した賃と替を返還する。静は建物を取得し、澄子には階のを終無償で使わせる。

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ただし費と活費は本負担、の経営と帳簿には切関与しない。

正隆は拒否した。「母さんを質にしている」と非難したが、澄子本は初めて息子へ反対した。

「質にしたのは、あなたでしょう。私の印鑑で、私の部を壊す契約をした」

澄子の声は震えていた。それでも言葉を撤回しなかった。正隆は、母が最には自分を守ると信じていた。その提が崩れた瞬、彼の交渉材料はほとんど残っていなかった。

調委員は、澄子の終居を約束にしないよう求めた。部の範囲、共用部分、修繕費、介護が必になったまで面にする。族なのに細かすぎると澄子は戸惑ったが、片桐は、関係が良いに決めるからこそでみにならないと説した。

静もつ譲歩した。澄子が暮らす限り、固定資産税の部を使用料として請求しない。その代わり、澄子の親族を期同居させるは事承諾を必とした。正隆が母の介護を実に再びみ着くことを防ぐ条項だった。信頼がないから契約するのではない。信頼だけでは守れなかったものを、今度は文章でも守るためだった。

案には、正隆がやアパートへ無断でち入らない条項も加えられた。澄子へ会うはで会い、鍵を預からない。族の面会を禁止するのではなく、面会を財産管理へつなげないための線引きだった。

澄子は厳しすぎると言いかけたが、自分の印鑑が使われた同をいし、最には署名した。

の署名、澄子は実印ではなくしく作った認印を持ってきた。実印を失った経験から、何にどの印を使うか自分で確かめるようになったのだ。さな変化だったが、静はそれを謝罪の言葉より信頼できるとった。

しかし翌朝、の庫が空になっていることが分かった。保全対象だった売と原本帳簿、彦の実印が消えていた。

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