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"四十九日の遺言" 第17話

庫をけられたのは、静、彦、正隆のだけだった。静の鍵は追いされたに取りげられ、彦の鍵は病の遺品から見つかっていない。正隆は「兄がどこかへ移した」と主張した。

防犯カメラは源が切られていたが、隣のクリーニングの映像に、夜すぎへ入る正隆のが映っていた。分にてくる際、部座席には段ボール箱がつ積まれている。正隆は呼びしに応じず、自宅にもいなかった。

静は追いかけなかった。警察へ映像と庫の目録を提し、には実印紛失を届け、法務局へ正な登記申請を警戒する報を伝えた。以の自分なら、族だけで解決しようとして正隆へ話をかけ続けただろう。今回は制度へ渡した。

、正隆は群馬県の倉庫で見つかった。帳簿を燃やしたわけではなく、融業者へ渡して追加融資を受けようとしていた。帳簿にはの資産だけでなく、正隆自の架空取引も記載されている。担保価値があるとわせるため、都のよいページだけを見せるつもりだった。

警察の取り調べで、実印を使った文がもうつ判した。彦の直、正隆はアパート号の会社に対し、が千百万円の債務を負うという借用を作っていた。彦の署名は遺言の署名画像から写され、実印だけ本物だった。

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これが発を急いだ最の理由だった。建物を売却し、自分の会社を債権者として代の部を受け取る。表向きは借返済なので、賃流用を隠しながらを移せる。静がへ残れば、しない債務に必ず気づく。

正隆は、兄が承していたと最まで言い張った。だが借用の付、彦は集治療に入り、面会も署名もできない状態だった。病院の記録が、最も単純でかせない反証になった。

庫には、毎の現だけでなく、仕入先との基本契約とアパート入居者の個報が入っていた。紛失すればの問題にとどまらない。静はへ事をらせ、に覚えのない連絡や契約があれば通報するよう頼んだ。自分の族の恥を隠すより、の被害を防ぐことを優先した。

正隆が倉庫へ運んだ箱には、幼い頃の兄弟写真も混じっていた。帳簿を隠すため庫のをまとめて持ちし、選別する余裕がなかったらしい。澄子は写真を見て泣いたが、警察へ「族の品だけ返してほしい」とは求めなかった。まず証拠確認を終えるべきだと自分から言った。母親の涙が、また続を止める理由にされないためだった。

倉庫で見つかった実印は、布に包まれ、正隆の帳と緒に保管されていた。帳には発代の使途が細かくかれ、最初に自分の会社の税、次に融業者、最に母の施設費と並んでいた。

静への支払いはもない。正隆がにした《族を守る》のに、働いた兄嫁は初めから含まれていなかった。

警察から返却された族写真は、澄子が枚ずつ理した。正隆が写る写真も捨てなかった。ただし、それを理由に被害届を取りげてほしいとは言わなかった。と責任を同に持つ練習を、彼女も始めていた。

静を追いしたのは、遺産を欲しがったからだけではない。帳簿を読むをから消す必があったのだ。

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