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"四十九日の遺言" 第18話

正隆の柄は度釈放されたが、詐欺な融資申請、文偽造、賃の流用について捜査が続いた。税務調査も社へ入り、架空経費と所得隠しが指摘された。彼が「族の内輪話」と呼んできたものは、族のでは契約違反と正会計だった。

商会の役員が静へ謝りに来た。正隆の話だけを聞き、を盾にする欲な未だとったという。静は謝罪を受けたが、正隆が作った噂を消して回るよう求めなかった。代わりに、が再したは経営者と契約先を確認してほしいと頼んだ。

澄子は階の部をて、期の齢者宅へ移った。自分から決めたことだった。静が戻るまで同じにめば、所から「もう仲直りした」と見られ、正隆のしたことまで曖昧になると考えたらしい。

「私はあなたを嫁としか見ていなかった。彦がしても、あなたが働けばは回るとっていた」

澄子は初めて具体に謝った。静は「分かりました」と答えたが、「許します」とは言わなかった。謝罪を受け取ることと、以の関係へ戻ることは違う。

調では、正隆が相続分を放棄し、賃の部とから流したを分割返済するが成した。刑事続きと税務責任は別にむ。澄子は自分の法定相続分の部を静へ譲渡し、代わりに将来階のを使用できる契約を結んだ。

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建物は静の名義になった。だが鍵を受け取った、彼女はすぐ居へがらなかった。の厨にち、油の染みた壁、欠けた作業台、正隆が貼った《佐伯の》というを見た。

を剥がすと、そのから父の加所代のさな板が現れた。《惣菜》。の改装にされ、壁へ仮留めされたまま忘れられていたものだ。

静が建物の鍵を受け取る、森田と吉岡もち会った。蔵庫には期限切れの材が残り、調料の容器にはと違うラベルが貼られていた。は写真を撮り、廃棄量を記録し、保健所の指示どおり清掃した。昔のへ戻す作業ではなく、問題のある状態を度終わらせる作業だった。

階の寝には、静の類が段ボールへ押し込まれていた。正隆は処分していないから問題ないと言ったが、夫婦の写真ては割れ、父の位牌は押し入れの奥に倒れていた。静はそので泣かず、破損品を覧にした。しみを証拠へ変えることに慣れすぎた自分へ気づき、作業はだけにづかず、友ので眠った。

静はへ戻った最初の夜、階ではなくの休憩に布団を敷いた。寝には追いされたの空気が残っているようで眠れなかったからだ。翌週、壁を替え、具の位置を変え、父の写真を窓際へ置いた。

元の状態へ戻すのではなく、自分が暮らせる所へ作り直してから、ようやく階で夜を過ごした。

内の私物を理すると、彦が使った古い算盤がてきた。静は形見として自へ置かず、域資料館へ寄贈した。いを元に抱え続けなくても、過は消えない。今の活に必な物だけを選ぶ余が、ようやくまれていた。

静は板の埃を拭き、を再するなら、この名を使おうと決めた。

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