みかん小説
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"寝室のベッドの下に隠されていたもの" 第12話

ベッドのにあるもの

の、私はしいマンションの定期清掃を坂本へ依頼した。あの以来、別の業者を選ぶこともできたが、証拠を壊さず警察を呼ぶよう勧めてくれた彼には謝していた。

「お久しぶりです。お元気そうでしました」

「おかげさまで。今は朝まで眠れるも増えました」

部は以のより狭いが、向きの窓からるいが入る。具は必な物だけを自分で選び、寝には脚のい簡素なベッドを置いた。が目で見える形を選んだことを、私はさだとはわない。今の自分がして暮らすための夫だからだ。

回りの清掃を終え、坂本が寝へ入った。ベッドを壁からしかし、へライトを向ける。その作を見た瞬、胸の奥がくなった。記憶は消えていない。

「あれ、奥さん」

坂本の声が止まり、私は息をのんだ。

「何かありましたか」

「これ、探していませんでした?」

彼がベッドのから取りしたのは、片方だけになっていた紺の靴だった。黒い箱でも、配線でも、偽造類でもない。数、洗濯の周りを捜していた、ごく普通の靴である。

私は数秒それを見つめ、やがて笑った。声をげて笑う私を見て、坂本も事を察したようにほほ笑んだ。

「見つかってよかったですね」

「ええ。本当に」

ベッドのにはい埃と、私が落とした靴しかない。

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それがどれほど幸せな景か、の私はらなかった。

清掃、坂本へお茶をしていると、から郵便が届いた。刑事裁判の区切りをらせる面だった。正たちの責任は、法律が認定できる範囲で示された。失ったや眠れなかった夜が戻るわけではないが、私の訴えが事実として残った。

正のそのを詳しくりたいとはわなかった。彼は事業もも信用も失い、自分が作った債務を自分で負う。義母もまた、息子を守るためという言葉では偽造や隠蔽を消せないとっただろう。

私は面をファイルへ収め、相続財産の運用報告をいた。から受け継いだ資産の部は、犯罪被害者の法律相談と避難を支える基へ寄付している。誰かを救う派なになりたかったからではない。あの、へ話でき、ホテルへ逃げる費用を持ち、仕事も失わずに済んだ自分が、決して標準ではないとったからだ。

残りの財産は専の助言を受けながら、私自の名義と判断で運用している。正の失敗を埋めるためでも、誰かに認めてもらうためでもない。老にみたい所、続けたい仕事、学びたいことを、自分で選ぶためのおである。

夕方、私は寝の窓をけた。たいが入り、洗いたてのカーテンが揺れる。

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以ならカメラがないか、誰かが見ていないかと部を確認しただろう。今もが全くないわけではない。それでも、そのを理由に自分の覚を否定することはなくなった。

正が最も巧妙に奪おうとしたのは、億千万円でもでもなかった。

鍵を閉めたか。薬をんだか。何を見たか。誰を信じるか。自分のについて、自分が最に決めてよいという覚だった。

は違える。忘れることも、疲れて判断に迷うこともある。それでも、度の迷いを理由に誰かへのすべてを渡す必はない。必なら助けを借り、証拠を確かめ、もう度自分で選べばいい。

私は坂本が見つけた靴を洗濯籠へ入れ、ベッドののライトを消した。今夜、確認したくなれば確認するだろう。しなくても眠れそうなら、そのまま目を閉じる。

どちらを選んでもいい。

この部にも、この先のにも、私へ向けられた隠しカメラはない。誰かがいた〈管理できない女〉の物語もない。

窓に映った私は、もう夫の観察記録のの物ではなかった。

私は自分のを、自分の目で見ていた。

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