みかん小説
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"父が開けた祝儀袋" 第13話

「けよう」

恭子は言った。

でつずつ名を確認した。

額を計簿へ記録する。

誰から何をいただいたか残しておく。

全部け終わると、浩司が聞いた。

「このお、どうする?」

恭子は赤ん坊の寝顔を見た。

「半分はこの子のために貯したい」

「残りは?」

「必なものを買おう。でも、買うにで決める」

浩司が頷いた。

「そうしよう」

翌、文が様子を見に来た。

部の隅には古のテレビ。

箪笥は棹。

鏡台もない。

赤ん坊の類はさな籠へ収まっている。

母はしばらく見回し、言った。

「もうし派な物を持ってきてあげればよかったかしら」

恭子は笑った。

「これで分だよ」

台所では浩司が湯を沸かしている。

文はもう驚かなかった。

「浩司さん、お茶なら私が淹れますよ」

「じゃあお願いします」

が台所へ向かう。

恭子は卓に残った計簿を閉じた。

表は使い込まれ、角がし丸くなっている。

には活費、賃、貯、親への援助、娘のための積まで、が相談して決めた数字が並んでいた。

豪華な披宴もない。

価な嫁入り箪笥もない。

きなテレビもない。

けれど、ここにある円については、誰かが「族のためだから」と勝に使うことはない。

父が最の千円を返した、恭子はようやく分かった。

結婚とは、親から派な物を持たせてもらうことでも、盛な披宴をいてもらうことでもない。

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の活について、が決められること。

必なら親を助ける。

けれど助け方も、額も、で決める。

親から何かを受け取るも、「ありがたいから」と何も考えず受け取るのではなく、その裏に誰かの無理がないか確かめる。

それが、あのの祝儀袋から恭子が取り戻したものだった。

夕方。

正吉がを閉めてから顔をした。

孫の顔を見て帰るだけだと言いながら、分以座っている。

帰り際、赤ん坊の枕元へさな封筒を置いた。

「お父さん」

「何だ」

「これ何?」

「孫の祝いだ」

恭子は封筒をに取った。

「借してない?」

正吉は瞬むっとした顔をした。

それから笑った。

「現だ。の帳面にもいてある」

「じゃあ、ありがたくもらう」

「好きに使え」

正吉は玄関へ向かった。

戸をける直、しだけ振り返った。

「いや」

恭子を見る。

「浩司君と相談して使え」

恭子は笑った。

「そうする」

父が帰ったあと、恭子はすぐには封筒をけなかった。

浩司が台所から戻ってくるのを待った。

で座る。

封筒を真んに置く。

「けようか」

「うん」

今度は誰にも急かされない。

返済を待つもいない。

世体のために数える必もない。

恭子は自分ので引をした。

そして浩司と緒に、に入っていた額を確かめた。

結婚式のと同じように、封筒のにはが入っている。

けれど、あのとはまるで違った。

誰のためのなのか。

何に使うのか。

誰が決めるのか。

そのすべてを、自分たちで話せる。

恭子にとって、それこそが、両親がどれほど価な嫁入り具をそろえても持たせることのできなかった、本当の活の始まりだった。

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