みかん小説
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"赤提灯から始まる逆転" 第11話

そのにいたのは、発第チームのリーダーに抜擢された佐藤だった。

「よし、このモジュールのテストは完だ! 鈴鹿社の教え通り、ユーザーの操作を最優先に調しよう!」

ききとした表で輩たちに指示をす佐藤の姿に、かつての怯えた面はどこにもなかった。 私が社のガラス越しにその様子を眺めていると、控えめなノックとともに、扉がかれた。

「社、しよろしいですか?」

入ってきたのは、仕ての良いスラックスにを包み、産の袋を提げた条最顧問だった。会職を退き、名実ともに引退したはずの好々爺は、今でもに度、ふらりと私のオフィスへ顔をしていた。

「条さん、お忙しいのにわざわざお越しいただいて」

「何が忙しいものか。隠居のは暇で仕方ないわい」

条は屈託のない笑みを浮かべ、応接ソファーにどっかりと腰をろした。袋から取りされたのは、京都の老舗が醸造した極の純米吟醸と、つの切子グラスだった。

「どうじゃ、鈴鹿社。就任から半の滑りしは」

「おかげさまで、アイギスの導入実績はグループの公共関や医療関へも広がり、先のサイバー犯罪被害阻止件数は過最を記録しました。……何より、社員たちが自分の仕事に誇りを持って笑ってくれている。

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それが番嬉しいです」

「そうか、そうか」

条は満そうに目を細め、グラスに黄の雫を注ぎ入れた。 澄み切ったガラスが触れい、チリンとい音が社に響く。

「乾杯じゃな。……あのの夜、赤提灯の居酒で交わした燗の約束の、これが本当の続きじゃ」

喉を通る酒は、信じられないほど甘く、そして温かかった。 数千円の財布のに怯え、ずぶ濡れの段ボール箱を抱えて彷徨っていたあの夜のたさが、い過ののように溶けていく。

「あの、あんたが員に差ししてくれた数千円がな……今や、数百万の活を守るきな盾に化けた。鈴鹿君、あんたの技術は本物じゃったが、何より本物だったのは、あんたのの底にある『者への優しさ』じゃよ」

条はグラスを傾けながら、に広がる無数ののを見つめた。

「見栄と保のためにの成果を奪う者は、どれほどくびがろうとも、最には己のみで墜落する。だが、の痛みに寄り添い、に積みげた誇りは、どんな嵐が吹こうとも決して揺らぐことはない。それを、あんたが証してくれたんじゃ」

「……ありがとうございます。すべては、条さんがあの夜、私のを引いてくださったからです」

「いいや、あんたが自分自ので歩き通したのじゃよ」

条はちがり、私の肩をポンと叩くと、軽やかな取りで部をにした。

再び静けさが戻った社で、私は自席のパソコンのに戻った。 社という責を担うになっても、私は毎晩、こうして自らしいコードを紡ぐを切にしていた。

画面の向こうには、ネット詐欺に怯える名もなき々、企業のさな商、そして未来を見る子供たちのデジタルな活が広がっている。 彼らが悪に脅かされることなく、してを迎えられるように。

『// System initialized. Protecting your tomorrow.(システム起。あなたのを守るために)』

コメントを打ち込み、私は静かにエンターキーを押した。 画面のを軽やかにりした緑のカーソルは、夜景のを浴びながら、未来へ向かってどこまでも、力く脈打ち続けていた。

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