"兄夫婦を亡くした日、5歳の双子を家族にした" 第13話
蓮は何も言わず、うどんをべていた。
誰かがいなくなった穴は、別の誰かで埋められない。
埋めなくてもいい。
穴があるままでも、周りにしい活を作ることはできる。
事が終わると、蒼依が自分の丼を流しへ運んだ。
向も真似をした。
私はテーブルを拭いた。
蓮が残った鍋を蔵庫へ入れる。
誰か1が全部やるのではない。
誰か1が全部諦めるのでもない。
その当たりの景こそ、兄夫婦が私に渡したかったものなのかもしれなかった。
兄夫婦の回忌の。
私たちは4で墓参りへった。
向と蒼依は8歳になっていた。
向は背が伸び、蒼依は自分で髪を結べるようになった。
墓にを供え、向が学の話をした。
「僕、リレーの選になったよ」
蒼依は言った。
「蒼依、算数100点だった」
私はしれたところで聞いていた。
蓮が隣につ。
「浩司さん、うるさいって言ってそうだな」
「言いそう」
墓参りの帰り、私たちは昔、兄夫婦とよくった定へ寄った。
内はほとんど変わっていなかった。
向が盛りの唐揚げ定を頼み、蒼依はオムライスを選んだ。
「べきれるの?」
「べられる」
結局、向は唐揚げを2個残した。
蓮がべた。
私はその景を見ながら、16歳のころをいしていた。
兄夫婦のさなアパート。
居に敷かれた2組の布団。
私に譲ってくれた部。
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医学部の格通。
泣きながら「返す」と言った私。
そして織さんの言葉。
《返さなくていいから》
あのときの私は、そのを半分しか理解していなかった。
返さなくていいというのは、受け取ったを忘れていいというではない。
借に変えるな、というだった。
を借にしてしまえば、いつか返済のために自分を削ることになる。
兄夫婦は、そんなものを私へ残したかったわけではない。
事を終えてへると、向と蒼依が先にっていった。
「来るかららない!」
私が叫ぶ。
「美緒ちゃん遅い!」
「待ちなさい!」
蓮が笑った。
「医者より学のほうが体力あるな」
「あなたも追いかけてよ」
「はいはい」
蓮が2を追う。
私はし遅れて歩いた。
夕方ののに、3の背がある。
兄と織さんはいない。
その事実は、何経っても変わらない。
寂しくないばかりになることもないだろう。
それでも私たちは、いなくなったの代わりに誰かを置くのではなく、いなくなったも含めてきている。
に帰ると、蒼依が蔵庫をけた。
「美緒ちゃん、プリン1個しかない」
「昨4個あったでしょう」
向が目をそらした。
「向?」
「らない」
「にカラメルついてるけど」
蓮が吹きした。
向が逃げる。
私は追いかけた。
リビングの棚には、兄夫婦の写真がある。
その横には、入学式の写真と、6で撮った族写真。
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さらに隣には、最撮った運会の写真が増えていた。
昔、私は族とは、誰かが誰かのために犠牲になることで続いていくものだとっていた。
兄が私のために働いた。
織さんが自分たちの活を削った。
ならば次は、私が向と蒼依のためにを差しす番だと。
けれど違った。
兄たちが私へ渡したのは、犠牲の順番ではなかった。
困っているにを差しすこと。
自分が困ったときには、差しされたを握ること。
誰かをするために、自分の幸せまで捨てないこと。
そのつだった。
「美緒ちゃん!」
蒼依が台所から呼んだ。
「プリンないなら買いにこう!」
「今はもうかない」
「えー!」
「」
「絶対?」
私は笑った。
昔なら、その「絶対」という言葉が怖かった。
未来に絶対などないとっているからだ。
でも今はし違う。
事故をなくすことも、別れをなくすこともできない。
それでも、のために約束することはできる。
「うん。買おう」
蒼依はして頷いた。
向が横から言った。
「僕2個」
「あなたは今べたでしょう」
「べてない」
「」
向が慌てて元を拭き、蓮がまた笑った。
赤い炊飯器から、炊きがりをらせる音がした。
私はちがり、4つの茶碗をした。
きなものが1つ。
くらいが1つ。
しきくなった子供用が2つ。
もう、誰の茶碗がどれか迷うことはない。
蓋をけると、い湯気がちった。
「ご飯だよ」
3が卓へ集まってくる。
私は兄夫婦の写真を度だけ見た。
返せなくてもいい。
返さなくてもいい。
あなたたちからもらったものは、ちゃんとここできている。
そうので伝えてから、私は自分の席に座った。
「いただきます」
4の声がなった。
今度は誰かが、族のために自分を差しすのではない。
りないところをしずつ補いながら、困ったときには何度でもを伸ばしう。
兄夫婦が私を育ててくれたあのからいをかけて、私はようやく、そのを理解していた。
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