みかん小説
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"夕飯のカレーを笑った友人が、私のレシピを欲しがった" 第4話

「うちの」と呼ばれたもの

私は付箋をスマートフォンで撮し、資料をそのまま封筒に戻した。証拠を集めて相を追い詰めたいわけではない。ただ、自分が何を見たのか、から「考えすぎだった」と片づけないために、記録しておきたかった。

文化祭の準備は、っていたよりきな催しになっていた。徒会が域の商にも協力を依頼し、来者は例より増える見込みだった。カレーは200分を予定していたが、試会の反応がよく、真理子は300に増やそうと提案した。私は仕入れ先の庫を確認してからでなければ決められないと伝えたが、彼女は「向きに考えましょう」と会議をめてしまった。

帰宅、私は業者に話をかけた。肉の追加は能だったが、値段ががり、米も別の銘柄に変わる。の調が必になるので、試作をもう度う必がある。私はその内容を真理子に伝え、判断を待った。返事は翌の夜まで来なかった。

やっと届いたメッセージには、《じゃあ由美子さんの方で調しておいて。私は学に報告するね》とかれていた。私は画面を見て、もう引き受けたくないとった。けれど断れば、徒たちが困る。委員にも迷惑がかかる。そう考え、材料の量を計算し直した。

試作は、文化祭の最の週末にわれた。

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私はしい銘柄の米と、甘のルウにわせて、野菜の切り方を変えた。会には先たちも来て、見をした。反応は々だった。真理子はそので写真を撮り、学の広報用にい画も撮していた。

「本当に助かったわ。由美子さんがいなかったら、こんなにうまくいかなかった」彼女は私の肩にを置いた。「でも、レシピは私が学に提するから、材料の細かい説だけまとめてくれる?」

私は「どうして?」と聞いた。自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。

「どうしてって、学との窓は私だから。資料の式も揃えないといけないし」

「レシピの作成者も真理子さんになるの?」

彼女の笑顔がしだけ止まった。「そんなつもりじゃないよ。PTAの活としてすだけ。誰のレシピかなんて、学は気にしないでしょう」

「それなら、私の名を入れても困らないよね」

くにいた先が、私たちの会話に気づいて顔をげた。真理子はすぐに声をらげた。「もちろん。由美子さんがそうしたいなら、入れればいいよ」

私は、自分のレシピを自分のものとして扱ってほしいと言っただけだった。ところが、そのの会議で真理子は「由美子さんがレシピのクレジットを気にしているので、資料に名を入れました」と説した。まるで私が功績を主張したかのような言い方だった。

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誰も何も言わなかったが、私はそのの空気がし変わるのをじた。

文化祭当、朝から庭には徒や保護者が集まった。カレーの列は昼から伸び、用した300は予定よりく売り切れた。徒たちは「おいしかった」と々に言い、先も笑顔でおかわりをした。私は調理で鍋を洗い、最の片づけまで伝った。

真理子は来賓や先たちと写真に収まり、学の広報担当に「私たちのカレーが番気でした」と話していた。カメラので笑う彼女を見ても、りより疲れが先に来た。

午、が委員たちに礼を言いに来た。「カレーは本当に評判でした。発案から準備まで、真理子さんがになってめてくれたそうですね」

真理子は「皆さんのおかげです」と答えた。私はその言葉に、しだけ期待してしまった。ところが彼女は続けて、「特に由美子さんが試作を伝ってくれて」と言った。伝い。レシピを作り、分量を計算し、費用を見直し、何度も試作したが、その語に収まった。

私は、そので訂正しなかった。に細かく説して文化祭の空気を壊したくなかったのだ。けれど帰り、真理子は私に言った。「名を入れたから、満した?」

その言葉で、私のに残っていた迷いが消えた。

「満していないよ。私は、作ったものを作ったと言っただけ」

真理子は肩をすくめた。「そんなにげさにしなくてもいいのに。私たち、友達でしょう」

友達。その言葉をにする彼女の表は、私がくっているものと同じだった。困ったを助ける優しい友の顔。けれど今は、その顔の裏に、私が断らないことを見越した計算が透けて見えた。

に帰ると、航が文化祭のを聞いた。「カレー、完売した?」

「したよ。みんなんでくれた」

「母さんの名は、ちゃんとた?」

私はし考えた。「たけど、ってた形ではなかったかな」

航はうなずき、何も聞かなかった。修司が夕飯の皿を並べる。テーブルのには、に作ったカレーの残りを焼きカレーにしたものがあった。

「今もカレーだね」と航が笑った。

私はその笑顔を見て、初めてった。真理子が笑ったのは、私の夕飯ではなく、私が自分の仕事をさく扱うことだったのかもしれない。

その夜、由から話が来た。「真理子さん、文化祭のことを自分の柄みたいに話してるよ。しかも『由美子さんは名を入れてほしがって、し面倒だった』って」

私は目を閉じた。由は「もう黙ってなくていいとう」と言った。私は「そうだね」と返したが、何をどうするかはまだ決めていなかった。

翌朝、真理子からグループチャットにメッセージが届いた。

《文化祭の打ちげを、うちでやることにしました。

カレーの成功をみんなでお祝いしましょう。由美子さん、いつものレシピで鍋をお願いできる?》

私はその文を読み返した。今度は、返事を急がなかった。

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