みかん小説
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"夕飯のカレーを笑った友人が、私のレシピを欲しがった" 第10話

友達という言葉

公民館の講座当、私は会のろの席に座った。参加するつもりはなかったが、冊子に私の名が載ることになったので、修正版がどう配られるか確かめたかった。表には真理子の顔写真と講座名があり、裏表くのカレーのページには「文化祭の試作を担当した佐藤由美子さんと協力して仕げました」と記されていた。

真理子はいつも通り、落ち着いた声で講座をめていた。汁の取り方、野菜の切り方、族の好みにわせたのえ方。参加者はにメモを取り、彼女も笑顔を絶やさない。講座の途でカレーのページに話が及ぶと、真理子は度言葉を止めた。

「このレシピは、文化祭で由美子さんが作ったものがもとになっています。私の説がりなくて、最初の冊子では誤解を招くき方になっていました。修正に協力してくださった皆さんに謝します」

その言葉は、分な謝罪とは言えないかもしれない。それでも、彼女がで事実を認めたのを聞き、私はし肩の力を抜いた。

講座のあと、真理子は私を裏のさな休憩に呼んだ。窓際の丸テーブルには、みかけのと、参加者用の資料がねてあった。彼女はしばらく何も言わず、指先での端を揃えていた。

「来てくれてありがとう」

「冊子がどうなったか見たかったから」

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「そうだよね」真理子はうなずいた。「文化祭のこと、やっぱり私のやり方がよくなかったとう。最初から由美子さんの名をちゃんと入れておけば、ここまでこじれなかった」

私は彼女の顔を見た。「名だけの問題じゃなかったよ」

「分かってる。たぶん」

「夕飯のカレーを笑われたことも、作ったものを自分の柄みたいに話されたことも、私が嫌だと言ったあとに『気にしすぎ』と返されたことも、全部つながっているようにじた」

真理子は目を伏せた。「私は、あんなにく言ったつもりはなかった」

「私はく言われたとじたよ」

彼女はすぐに反論しなかった。初めて、私の言葉が彼女の説できされず、そのまま机のに置かれたようにえた。

「うちの夫、健康診断で数値が悪くなってから、事のことを気にしてるの」真理子は話し始めた。「私もでは油や塩分を減らして、べる量を記録してる。だから、夕飯のカレーは避けていた。そう言えばよかったのに、あなたののやり方を否定するような言い方をした」

「そういう事があっても、私のを笑う理由にはならないよ」

「うん。分かってる」

真理子は、文化祭のレシピを使った理由も話した。域の料理サークルで、講師の補助を頼まれたばかりだった。自分の料理に自信がなく、学の委員として認められたかった。

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文化祭でカレーが好評だったとき、それを自分の実績にしたくなった。私のレシピを借りたのは、庭な料理を作るだとわれたかったからだという。

「それなのに、でカレーをすを笑ったの?」

「うん。矛盾してるよね。に褒められたくて、あなたをに見せようとしたんだとう。自分でも、そういうことをしていたって認めたくなかった」

彼女の説を聞いても、私のの傷が消えたわけではない。理由が分かれば、すべて許せるわけでもない。それでも、彼女が初めて「そんなつもりではなかった」だけではなく、自分のしたことを言葉にしたのは事実だった。

「ごめんなさい」真理子は言った。「由美子さんの料理がどうこうじゃなくて、私が自分に自信がなかった。あなたの族が卓で楽しそうにしているのが、うらやましかったのかもしれない」

私は、文化祭のに航が「母さんのカレー」と言った声をいした。真理子のの卓がどうだったか、私には分からない。彼女がうらやましさをじたとしても、それは彼女が向きうことだ。

「謝ってくれたことは受け取るよ。でも、すぐにみたいに戻るとはわないでほしい」

「分かった」

「これからは、嫌なことはそので言う。頼まれてもできないことは断る。それで嫌になられたら、距を置く」

真理子はうなずいた。「それでいいとう」

私は、その返事を聞いて、もう度彼女を信じようとはわなかった。信頼は、言葉を度交わしただけで戻るものではない。彼女がこれからどうするかを、くから見ていけばいい。

休憩をると、由が廊で待っていた。「話せた?」

「しね」

「どうだった?」

「謝ってくれたよ。でも、すぐに仲直りはしない」

由は「それでいいとう」と言った。私たちは公民館をて、駅まで歩いた。真理子の姿は、講座の片づけをしている職員たちの向こうにあった。彼女は参加者にをげ、冊子の残りを箱に詰めていた。私はち止まらず、そのまま歩いた。

帰り際、公民館の職員が私に「真理子さんは、講座のあと参加者からも質問を受けていました。料理を続けたい気持ちは本当なんだといます」と話した。私は「そうですね」と答えた。真理子の努力まで否定したいわけではない。彼女が努力して得たものなら、彼女自のものだ。だからこそ、私がした仕事を彼女のものにされることを、黙って受け入れる必もなかった。

その夜、航は公民館の冊子をテーブルで見つけた。「母さんの名、ここにあるね」と言ってページをいた。私は「さくても、事実がいてあればいいよ」と答えた。航は冊子を戻し、「母さん、よりちゃんと言うようになったね」

と笑った。私はその言葉に、し照れながらうなずいた。

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