みかん小説
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"夕飯のカレーを笑った友人が、私のレシピを欲しがった" 第12話

カレーの夜

になり、航は2に級した。部活の輩が入ってきて、帰宅はより遅くなった。修司の仕事も落ち着き、週末には族で買い物にかけることが増えた。卓の話題は、真理子のことからしずつざかっていった。

ある、由から連絡が来た。「真理子さんと偶然会ったよ。元気そうだった。あなたのことを聞かれたけど、無理に会わせるようなことはしなかった」

私は「ありがとう」と返した。真理子が私のことを聞いたとっても、以のように胸がざわつくことはなかった。彼女を責め続ける必も、すぐに許す必もない。自分の活を続けることが、いちばん確かな答えになっていた。

その週の曜、私は夕にカレーを作った。玉ねぎをじっくり炒め、じゃがいもとにんじんを加え、最にしだけりんごをすりおろす。母から教わったを、航が好きな辛さに調する。鍋からつ湯気を見ていると、文化祭の試作会や、真理子の言葉、会議で資料を並べたのことが瞬だけよみがえった。

私は鍋のをめた。過をいすことと、過に戻ることは違う。あの来事があったから、私は自分の仕事を自分の言葉で説できるようになった。嫌なことを嫌だと言い、できないことを断るようになった。カレーそのものは何も変わっていない。

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変わったのは、私が自分の卓を恥じなくなったことだった。

修司が帰宅し、を洗って卓についた。航は部活の仲と話したことを報告しながら、皿にカレーをよそった。「今の、いつものだね」

「いつものがいいんだよ」修司が言った。

3でべる夕飯は、特別なごちそうではない。鍋を囲んで、今あったことを話し、の予定を確認する。それだけのを、私は以より切にじていた。

、私は洗い物をしながら、真理子から最に届いたをいした。許してほしいとはけません、と彼女はいていた。あの言葉は、私に答えを迫らないというで、初めて相の気持ちを尊した言葉だったのかもしれない。私は彼女を許すかどうかを急がず、いつか自然に話せるが来たら、そのときの自分の気持ちに従えばいいとった。

翌朝、残ったカレーを温めて航にした。彼は「朝カレー、最」と言って、寝ぼけた顔でスプーンをかした。修司はコーヒーをみながら聞を読み、私は弁当箱を洗っていた。どこにでもある朝だった。

スマートフォンに、真理子からいメッセージが届いた。

《この、公民館で習ったに、夕飯のカレーもいいものだと言われたよ。私も、で作ってみようとう》

私は画面をしばらく見つめた。何と返すべきか考え、やがて「族がぶにできるといいね」

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と送った。それ以の言葉はさなかった。彼女が本当に変わったのか、ただ会話を再したいだけなのかは、これからのを見ればいい。

航が空になった皿を流しへ運んだ。「今度はいつカレー?」

「2週くらいかな」

「じゃあ、そのは部活く終わるようにする」

私は笑った。「カレーのために?」

「もちろん」

夕飯にカレーをすことは、特別でも、恥ずかしいことでもない。誰かのの決まりが、私のの決まりを決めるわけではない。卓の正解は、そこに座るたちが見つければいい。

私は、卓の写真を撮ってみようとい、スマートフォンをに取った。皿の位置をえたり、湯気がきれいに見える角度を探したりはしなかった。修司のが画面の端に入り、航のスプーンはし傾いている。完璧な枚ではない。それでも、私たちがいつもの夕飯を囲んでいることが、そのまま写っていた。写真は共アルバムにだけ保し、誰かに見せるための投稿はしなかった。

以の私は、真理子の言葉をいすたびに、自分の暮らしを説しようとしていた。今は、説しなくてもよいことが分かる。私のの卓は、私たちが決める。そこで笑っている族の顔が、もう分な答えだった。

その夜、私は族の皿を並べた。鍋ので、カレーが静かに温まっていた。

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