みかん小説
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"祖父の土地を勝手に道路にされたので、自販機を置いた" 第2話

『うっちゃりの』の誕

私がなぜ『うっちゃりの』と呼ばれるようになったのか。 それは、私のまれ持った「理尽に対する異常なまでの執」と「ルールの穴を突き詰める習性」に由来している。

遡ること、の。 当の私のには、徒指導を担当する名物教師がいた。徒たちから「鬼瓦」と恐れられていたその男は、毎朝、のに仁王ちし、遅刻ギリギリの徒を捕まえることに異常な執を燃やしていた。 だが、そのやりが湿極まりなかった。 チャイムが鳴る秒、必でってくる徒を見つけると、鬼瓦はわざとの央へゆっくりと歩みてを塞ぐのだ。徒が減速したり回り込もうとしたりして数秒ロスした瞬、キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴る。

『はい遅刻! 秒でも遅れたら遅刻だ! 放課、反省文用枚いて職員へ持ってこい!』

鬼瓦は勝ち誇った笑みを浮かべ、徒たちの帳に減点スタンプを押す。みんな理尽さに涙を呑んでいたが、教師に逆らえば内申に響くため、誰も文句を言えなかった。 だが、私はどうしても納得がいかなかった。 ――この男は、規律を守らせているのではない。自分が権力を振りかざして悦に浸るために、図に「遅刻を捏造」しているのだ。

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私は徒帳を隅から隅まで読み漁り、職員の棚に眠っていた学管理規則の全文を調べげた。 そして、徒得の第条に、極めて確なを発見したのだ。 【始業刻(午分)のチャイム鳴に、指定の教内の自席に着席していない者を遅刻として取り扱う】

どこにも「を通過していない者」などとはかれていなかった。

翌朝、午分秒。 私はわざと、鬼瓦が待ち構えるへ向かってった。 案の定、鬼瓦が嬉々としてニヤつきながら、私の正面へとちはだかる。両を広げ、を完全に遮断する体勢。

『はいストップ! もう無理だな、宇都宮! 遅刻だ!』

私はち止まり、腕計の秒針を鬼瓦の目のに突きつけた。 「先、まだ分秒です。始業秒ですが」 『秒で階の教までけるわけがないだろうが! 諦めて反省文をけ!』 「則第条をごですか? 『始業に自席に着席していない者を遅刻とする』。のことなんて文字もいてありませんよ。先が勝に徒のを妨害して遅刻を作りしているなら、それは教育指導ではなく威力業務妨害です」 『なっ……何を屁理屈を!』

鬼瓦が揺してをあんぐりとけた瞬――私はクラウチングスタートの姿勢から、彼の脇のわずかセンチの隙をすり抜けた。

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陸部仕込みの階段段ばし。昇を突破し、階の廊を疾、階段を駆けがり、のフロアへび込む。 ガラリと教の引き戸をけ、自席のパイプ子に尻を滑り込ませた瞬――。 キーンコーンカーンコーン。

始業のチャイムが、静寂な舎に鳴り響いた。

「……セーフ」 息を切らしながら窓のを見ろすと、のでポカンとをけて空を見げている鬼瓦が見えた。私は窓からを乗りし、腕計を指差しながら、満面の笑みできくを振ってやった。

放課、案の定、活指導へ呼びされた。 だが、激昂する鬼瓦と学主任に対し、私はプリントアウトした則の条文と、から教までの移(平均秒)の測定データを淡々と突きつけた。 『徒の分際でをからかいおって……!』と顔を真っ赤にして悔しがる鬼瓦の姿は、代劇で悪事を暴かれて打ち首を待つ悪代官そのものだった。

この件以、での理尽な通せんぼは完全に廃止された。 相撲観戦が趣だった私の親友が、この俵際の逆転劇を評して言ったのだ。 『、あんた最だよ! まさに俵際のうっちゃりだ! 今からあんたは“うっちゃりの”だよ!』

い相が体をかけて押ししてくるその力こそが、相を投げばす最のエネルギーになる。

ルールを盾にしてを支配しようとする者は、ルールそのものの刃によって自らの首を落とすのだ。

その教訓を胸にきてきた私が、まさか社会になってから、個の則どころではない「数百億円の巨タワマン」を相に、最のうっちゃりを打つことになるとは、にもっていなかった。

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