"祖父の土地を勝手に道路にされたので、自販機を置いた" 第4話
接義務の罠と役所の壁
武郎はサングラスをし、ねっとりとした線で私を見ろした。
「都計画区域内で建物を建てるには、幅メートル以の『』に、敷がメートル以接していなきゃならない。このタワマンの本体敷は、奥まった袋にあった。だがな、おのじいさんのこの細い……ここは、昔から隣の民が勝に抜けとして使っていた『事実の』だ」
「事実の……?」
「そうだ。役所の台帳と建築指導課の記録を洗ったらな、ここは『みなし(項)』およびの般交通の用に供されていた事実があるとして、公な扱いになっていたんだよ。だから、が社はこのをとして申請し、完璧に法な続きを踏んで建築確認を通した。おのじいさんのを奪ったわけじゃない。『を通らせてもらっている』だけだ」
「何言ってるのよ! ここは祖父の私よ! 固定資産税だって祖父が払い続けてるのよ! の私を勝にとして申請して、巨なタワマンの接件に使うなんて、許されるはずがないでしょう!」
私の激昂に対し、武郎は嘲笑をめるばかりだった。
「許されるんだよ、法律はな。おのじいさんには謝してほしいくらいだぜ? うちのタワマンが建ったおかげで、この帯の価はねがる。
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じいさんのの資産価値だって爆がりだ。……まあ、おがいくら騒いだところで、もう建物は割方完成してる。今さら事を止められるわけがないだろ? しく指をくわえて見てな」
武郎はそれ以私の相をする気もないように、事現の仮設事務所へと消えていった。
私はりで震えるを叱咤し、そのでS役所の本庁舎へと向かった。 階の建築指導課の窓。応対にた男性の担当者は、私の提示したの登記簿謄本と公図を瞥し、困ったように眉尻をげた。
「……ええ、宇都宮様のおっしゃる通り、当該敷が宇都宮武様の私であることは確認しております。しかしですね……」 担当者は分い建築確認申請のファイルをめくった。
「当該は、数の周辺発の経緯から、建築基準法の通指定、ならびに位置指定としての件を形満たしております。建築主である川端都発様からの申請類に形式の備はなく、当課としては適法に建築確認済証を交付せざるを得なかったのです」
「でも、所者である祖父に何の承諾も得ていないんですよ!? 民法の所権の侵害じゃないですか!」
「ええ、ですから……それは『民事の問題』なんです」 担当者は事務な、壁のような声で言った。 「建築基準法に基づく建築確認処分は、公法の全基準や集団規定を審査するものであり、民法の私法関係――つまり、の所権や通権の無までは審査の対象なのです。
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所権の侵害を理由とするのであれば、民事裁判で損害賠償や通料の請求訴訟を起こしていただくしかありません」
「裁判……? 裁判を起こして判決がるまでに、何かかるとってるんですか! そのにマンションは完成して民が入居しちゃうじゃないですか!」
「現実問題として……完成の数億円規模の建築物を、接部分の承諾がないという理由だけで取り壊させる判決など、過の判例を見てもまずませんよ。せいぜい、過の通料相当額の支払いを命じる程度で解になるのが関のです。……お気の毒ですが、これが政の限界です」
お気の毒ですが。 その淡な言葉が、私のの奥で虚しく反響した。 役所はかない。法律は、狡猾にち回る悪党の方をするように作られている。 このままでは、祖父のはタワマンの無料の入として永久に奪われ、武郎は莫な利益をにして笑いするだけだ。
失の、私は窓のカウンターに両をついた。 考が猛烈な速度で回転する。 何か……何かはないのか? 相は「接義務」を根拠に建築確認を通した。 があるから、タワマンが建つ。 があるから……?
私は顔をげ、担当者の目をじっと見つめた。 「担当者さん。つだけ、仮定の話として質問させてください」
「は、はい? 何でしょうか」
「建築確認の提となっているその『』ですが……もしも、物理にとして能しなくなった、どうなるんですか?」
「え……?」 担当者は怪訝な顔をした。 「物理に能しない、とは?」
「例えばです。そこが完全に何者かによって塞がれ、もも切通できない状態が継続した……それでも政は、そこを『接義務を満たす』として認め続けるんですか?」
担当者は鏡の位置を直しながら、困惑気に答えた。 「……極端な仮定ですね。しかし、建築基準法のとは、現に通の用に供されているか、あるいはいつでも通能な状態にあることが提です。もしも構造、物理に恒久な障害物がし、入としての能を完全に喪失していると判断されれば……完検査において検査済証の交付を保留、最悪のは建築確認の取消処分、あるいは正命令の対象になり得ます。……ですが、そんなこと、現実にはあり得ないでしょう?」
その瞬。 私のので、カチリと音をてて最のピースが噛みった。
――そうか。 だから、通れる。 ならば、「を消してしまえばいい」のだ。
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