みかん小説
本棚

"祖父の土地を勝手に道路にされたので、自販機を置いた" 第5話

祖父の病と、暴かれた通の『恋文』

役所をた私は、そので祖父が入院するリハビリ病院へと向かった。 ナースステーションを通り抜け、の差し込む個のドアをける。 ベッドので体を起こしていた祖父・武は、私の顔を見るなり、麻痺の残るを震わせながら、皺だらけの顔を綻ばせた。

「……ゆき……か……」 「おじいちゃん、顔いいね。リハビリ、順調?」

私は祖父のベッド脇の丸子に座り、持参した果物の皮を剥きながら、現のの惨状をかいつまんで説した。 祖父のに、川端武郎が勝にタワマンの入を舗装して事をめていること。役所は民事介入を盾にかないこと。

祖父は点滴の管がついたで私のを握り返し、掠れた、だが芯の通った声で言った。 「……武郎の……とこの僧か……。あそこは……昔、隣のショッピングモールがあった頃も……勝に通り抜けようとする奴らがいてな……。わしは板をてて……『使うなら責任を持て』と……筋を通させた……」

祖父はかつて元で『すっぽんの武』と呼ばれていた。度噛みついたら、が鳴ってもさない頑固徹の男。 「ゆき……おの好きに……やれ。あそこは……おのだ……」

「ありがとう、おじいちゃん。絶対に、あの男のい通りにはさせないから」

私は祖父の許を得て、病の台の引きしから、の権利証と実印を預かった。

広告

そして、自宅の古い庫の鍵を受け取り、作戦の準備のためにS郊にある祖父の自宅へと向かった。

祖父のは、田園帯に佇むきな本だった。 仏壇の部の隅に置かれたな耐庫。預かった真鍮の鍵を差し込み、ダイヤルを回してい扉をける。 には、権利証、過の納税通、そして分い権利関係の類束が然と収められていた。

類を理していた私の指先が、庫の最段、桐の箱に触れた。 「……何かしら、これ」

箱の蓋をけると、からてきたのは、輪ゴムで束ねられた数通の封筒だった。 すべて、宛名は【宇都宮武様】。 だが、差の欄を見て、私の背筋が凍りついた。

【差:川端都発株式会社 専務取締役 川端武郎】

付は、今からから半――祖父が倒れる直まで、定期に送られていたものだった。 私は息を呑みながら、番の封筒から便箋を引き抜いた。 ビジネスの買収提案かとった。権者に対する、正式な用買収の申し入れのだと。 だが、そこに万の神経質な跡でびっしりとき連ねられていたのは、ビジネスレターなどという易しいものでは断じてなかった。

『拝啓、宇都宮武様。 本もさんの況についてご報告申しげます。さんは先週、曜の夜に豊洲のオフィスをて、楽町線で島の自宅へ帰宅されました。

広告

グレーのトレンチコートが実によくお似いでした。 さんは現、独のようですね。私とさんが結ばれることは、すでに運命によって決定づけられています。 武様、どうかごください。私はさんをに入れるため、貴殿が所する原のの隣接をすべて買い占めました。ここに階建ての巨なモニュメントを建て、その頂にさんを迎え入れるのです。 このを私に譲渡してください。拒否されるのであれば、私は法に貴殿のを包囲し、さんが私の元へ泣きついてくる状況を作りすまでです。さんは私のものです。代から、ずっと――』

「……っ!?」

を取り落としそうになり、私は元をで覆った。 激しい吐き気と悪寒が、全の毛穴から噴きした。

通に及ぶのすべてが、私の記録、盗撮された写真の描写、そして私に対する狂気じみた執着で埋め尽くされていたのだ。 武郎がこのにタワマンを建てたのは、単なる産発ビジネスではなかった。 祖父が倒れたのも、偶然の病気などではない――この狂気の脅迫状を毎送りつけられ、労をねた末の劇だったのだ。

武郎は、最初から私を「所」するために、この数百億円のタワマンを建設し、祖父のを罠として利用したのだ。

その、私のスマートフォンが、ピリリとく震えた。 見らぬ番号からのショートメッセージ。

『、は見つけてくれたかな? 君が原のに来るのを、ずっと待っていたよ。あのタワマンの最階、ペントハウスの鍵は、君のものだ。、俺のところへおいで』

暗の本ので、私はスマートフォンの画面を凝した。 恐怖は、すでに消えっていた。 私の胸の奥底で、氷のように徹な「殺」にも似た決が、静かに鎌首をもたげた。

「……川端武郎。あんた、完全に踏み越えちゃいけない俵を割ったわね」

うっちゃりのの、最の反撃の狼煙が、今、漆黒の夜空へと打ちげられようとしていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: