"祖父の土地を勝手に道路にされたので、自販機を置いた" 第14話
暴かれた鉄骨の偽装
「何の用だ! 代の件なら、もう親父と示談が済んだはずだろ!」 武郎はマイクを握りしめ、唾をばして威嚇した。
「ええ、私の祖父のに対する侵害は、法に清算されました。今私がここへ来たのは、祖父のためではありません」 私は持参したバインダーをき、特のA1サイズに引き伸ばした構造図面を、壇の演台へバサリと広げた。
「このタワーマンションに命を預けようとしている、購入者と民の皆様のためです」
会がざわめきから、静まり返るような緊張へと呑まれていく。 私はプロジェクターの入力ケーブルをスマートフォンへ直結し、会の型スクリーンにデータを映しした。
「スクリーンをご覧ください。これは、当タワーの階から階における、鉄骨柱の超音波探傷試験(UT検査)のデータです」
画面に、波形の乱れた赤黒いグラフが表示される。 「設計図で指定されていた鋼材は、層建築用の耐震構造用圧延鋼材『SN490B』。しかし、実際に現へ搬入され、溶接された鉄骨の成分分析をったところ、引張度が基準値を割以も回る、価な製の無規格粗悪鋼材が使用されていることが判しました」
「な……何だと!?」 がちがり、富裕層の購入者たちから鳴ががった。 「構造偽装……!?」「抜き事なのか!?」
広告
「デタラメだ!!」武郎がマイクを叩きつけた。「民の検査関から、正規の格証がている! 怪文の類に惑わされるな!」
「その検査関の理事、あなたの母方の叔父である元国交省OBの園寺氏ですね」 私の徹な声が、武郎の逃げを完全に塞いだ。
「今朝午、警庁と国交省の同捜査本部が、本宅総検査センターへ宅捜索に入りました。園寺氏は、川端発から便宜供与として千万円相当の未公株と級を受け取り、改ざんされた構造計算をノーチェックで通していた事実を、すでに全面自供しています」
「う……あ……」 武郎の喉から、ヒューヒューと空気の漏れるような音が漏れた。 顔面は気を通り越し、青く直している。
「期の遅れを取り戻すため、そして自販騒でねがった損害賠償を埋めわせるため、あなたは層部の鉄骨ダンパーを基も引き、構造計算プログラムの入力パラメータを図に改ざんした。……建築基準法第条(構造耐力)違反、ならびに詐欺罪です」
会は阿叫喚の獄と化した。 「を返せ!」「契約を解除しろ!」「殺しのマンションを売りつける気か!」 詰め寄る購入者たち。顔を覆って退席しようとする。 逃げを失った武郎は、演台にをついてガタガタと震えていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
母の小さな食卓
三年ぶりに実家へ帰った直人は、母の誕生日の食卓に、ご飯と味噌汁、漬物しかないことに驚く。冷蔵庫もほぼ空なのに、玄関には弟へ渡す高価なりんごが三箱も積まれていた。 さらに母の通帳には、弟へ毎月八万円を送った記録が残されていた。弟ばかりを優先する母への古い不満がよみがえるが、その金は、直人が失業した三年前から、息子・悠人の学費として渡されていたものだった。裡の顔|親子関係|修羅場2.8万字5 42 -
完結第13話
お湯を奪われた嫁
真冬の夜、義母から「安月給の嫁には水で十分」と風呂を禁じられた真理子。三年間、家計と家事を支えながら侮辱に耐えてきた彼女は、その日を境に生活費の負担をすべて停止する。 月九万円と無償の家事が消え、夫と義母の暮らしはたちまち崩れ始めた。そんな中、真理子は床下から亡き義父の黒革の手帳を発見する。 そこには、彼女の生活を守るために遺された二千万円の信託と、虐待があれば義母の居住権を失わせる誓約書が隠されていた。しかも夫は、その金を三年間にわたり遊興費へ流用していた。 お湯さえ惜しんだ親子に突きつけられる、凍結された口座と刑事告訴の可能性。沈黙を捨てた真理子は、奪われた金だけでなく、自らの尊厳と人生を取り戻すため、静かな清算を始める。因果応報|嫁姑|修羅場1.9万字5 243 -
完結第12話
私にだけハズレ料理を出す義母の誤算
月に一度の義実家での食事会。真希にだけ、焦げたご飯、肉のない煮物、殻付きのエビ、骨だらけの刺身が出される。しかし夫・隆は「偶然だ」「被害妄想だ」と、母親を庇い続けた。 妊娠を知った真希は、わが子を守るため、記録を残しながら静かに脱出の準備を始める。そんな中、義母は「誰がハズレを引くかしら」と、中身の違うメンチカツを食卓へ並べた。 真希が選んだ一つを切ると、中から現れたのは肉ではなく、形を整えたかまぼこ。長年「偶然」で隠されてきた嫌がらせが、夫と義父の前で初めて暴かれる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場1.3万字5 51 -
完結第20話
家族投票の三日後
お盆の親族会で、地味な事務員として働く美緒は、姉から「家族の投票で決めた。今すぐ出ていけ」と追放を宣告される。両親も親戚も、姉の婚約者も笑って賛成した。 しかし彼らは知らなかった。倒産寸前だった老舗旅館を救い、土地と建物を買い取った真の所有者が、美緒であることを。彼女が姿を隠して注ぎ続けた資金がなければ、旅館は一か月も維持できなかった。 美緒が援助を止めると、家族の浪費と巨額の不正支出が露見する。さらに姉の婚約者も、旅館の資産を利用して自社の損失を埋めようとしていた。そして三日後、華やかな結納の最中、執行官と弁護士が現れる。怒り|嫁姑|金銭問題|修羅場1.9万字5 43 -
完結第12話
夕飯のカレーを笑った友人が、私のレシピを欲しがった
「夕飯にカレーなんてありえない。家族がかわいそう」 友人・真理子の何気ない一言に傷ついた由美子。ところが後日、その真理子から文化祭で出すカレーのレシピ作りを頼まれる。 試作、材料計算、衛生管理まで担った由美子だったが、完成した料理はいつしか「真理子の家庭の味」として紹介され、自分の名前だけが消されていた。さらにそのレシピは、公民館の料理講座でも真理子の実績として使われようとする。 由美子は初めて「大丈夫」と笑って引き下がることをやめ、自分が担った仕事を記録とともに伝える。これは一皿のカレーをめぐる争いではない。親切と友情の陰で軽く扱われてきた女性が、自分の努力と暮らしに境界線を引き直す物語。怒り|裡の顔|修羅場2.3万字5 232