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"昭和29年、棟梁が祝いの柱を割った理由" 第11話

座敷の

翌、柴田の座敷にはほどが集まった。忠蔵夫婦、津久田、原田、源吉と健太郎、川島、材置にいた豊、そしてほかの被害を配するの代表である松岡佐とはる。屑の入った包み、納品控え、傷んだ梁の図面が畳へ並べられた。忠蔵は茶をし、「まずは事実だけ話す。誰が悪いかはそのだ」と言った。

原田はすぐに、材が悪かったとしても自分だけが見抜けるわけではないと主張した。から運ばれたにはから分からない傷があり、棟梁にも検品の責任があるという。源吉は否定しなかった。ののに分確かめず判を押したこと、原田の説を疑わず柴田の作業をめかけたことを認めた。佐が「それを先に言ってほしかった」と呟くと、源吉はをげた。

方、豊はの印を直した経緯を話した。原田は「劣った材にも使いはある。印を変えたことと、が傷んだことは別だ」と言った。川島は「その通り、本ずつ確かめる必がある」と受け止めたうえで、柴田の梁と松岡の部が、建てるから傷んでいた能性を説した。源吉の勘ではなく、現で見たものを誰でも確認できるようにしたことが、ようやく役にった。

津久田は終始腕を組んでいた。議論が材代の返に移ると、突然声をした。

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「今さら払えと言うなら、俺にも注文がある。施主は期を守る条件で頼んだはずだ」。忠蔵は机を叩かなかった。ただ請負契約をき、「俺が頼んだのは期ににうだが、それより先にがめるだ」と答えた。その言葉に、ふさは隣でさく頷いた。

話しいはすぐにはまとまらなかった。原田は傷みのある部材の材料費を返す用を示したが、取り替える職の当や、をす費用までは認めない。津久田は期延の負担を誰かに求め、源吉は自分の検品に応じた費用をすと言う。しかしそれだけでは、軒の点検と補修をまかなえない。皆が数字を並べ始めると、座敷の空気はさらにくなった。

そこへはるがをいた。「事のおの話は事です。でも私たちは、からどこで寝ればいいんでしょう」。佐も続けた。「額が決まるまでへ入るなと言われたら、こっちの暮らしが止まる」。忠蔵は考え、まず全急ぐ箇所の補修を優先し、その費用についてはから話しうことを提案した。津久田は反対しかけたが、伊藤医師が提した診療所の点検記録を見て黙った。

結局、そのはつだけ決まった。確認された傷みのある所には応急措置を施し、必な部材交換の程を示すこと。費用の配分や過の伝票の扱いは、に改めて話すことになった。

源吉は座敷をる、津久田へ「おの仕事を奪いたくて来たんじゃない」と言った。津久田は顔をそむけ、「おが番俺を追い詰めている」と呟いた。

その夜、原田の材置の倉でさな事が起きた。所のが気づいて消し止め、きな被害はなかったが、古い帳簿を入れた棚の部が焼けた。源吉へらせに来た豊は青ざめ、「俺が残した伝票の元は、あの棚にあったんです」と言った。原因はまだ分からない。源吉は余計な推測を止め、自分の元に残る控えと清次の台帳を、や湿気から守れる別々の所に分けて預けた。

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