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"昭和29年、棟梁が祝いの柱を割った理由" 第17話

息子のための部

がづき、柴田では修繕した梁のへようやく根が仕がった。遅れていた事はきな損になったが、通し柱と傷んだ梁を交換したことは職たちの記録に残る。忠蔵は施の様子をほぼ毎見に来た。以なら仕事の邪魔だと源吉が嫌がったところだが、今は何をしているか問いかけられるたびを止めて説した。忠蔵も、同じ質問を何度もすることを恥じなくなった。

ある午、律子が事へやって来た。腹がきくなり、ゆっくりしか歩けない。忠蔵は「危ないから戻れ」と言ったが、律子は完成の階を見げ、「赤ん坊の部はどちら側ですか」と尋ねた。源吉は階段の位置を示し、がるくなるの部を案内する予定だと説した。律子はそこでを止め、板のへを置いた。

「は怖くて、見に来られませんでした。柱を斧で削る音を聞いたら、このはもうめないんだとって」

源吉は何も言わずに聞いた。律子は続けた。「でも今は、直すところをちゃんと見ておきたいんです。この子がきくなって、どうやってが建ったか聞いたに話せるように」。源吉の目の奥がくなった。が遅れた理由を、隠さず話してよいと言われた気がした。

その、源吉は田のへ回った。回はの悪い田が寝る部に荷を置かないよう頼んだままで、補修のため具をかす必がある。

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田は移を嫌がっていたが、妻が隣のの空き部を借りられるよう配してくれた。源吉と健太郎は田の体に負担がかからないよう程を調し、先に部を片づけてからをした。

作業をめると、確かに傷んだ材が見つかった。だがその周囲には、建築からの問題だけでなく、に流れ込むの響もあった。庭の排を直さなければ、しいへ替えても湿気は残る。田は説を聞き、「全部材が悪いという話じゃないんだな」と言った。源吉は頷き、「だからか所ずつ確かめたかったんです」と答えた。

源吉は庭のの流れを緒に見直し、さな排を掘ることを提案した。田は自分のではく掘れないので、息子と所の若者が伝うことになった。事の途、息子は父に「いつかを建てるなら、親方へ頼みたい」と言った。田はすぐには答えず、源吉の方を見た。源吉も何も言わなかった。信用を取り戻すための言葉を探す必がない瞬だった。

その晩、町の酒で原田に会った。原田は以より痩せ、酒もほとんどんでいなかった。源吉が隣へ座ると、「うちの若いのは、おのところへったそうだな」と聞く。豊のことだった。「働きが必だっただけです」と源吉が答えると、原田は苦く笑った。

「俺をでなしにしなきゃ、おは派になれんとってるのか」。源吉は首を振った。

「俺は派じゃない。判を押したから、同じ違いのにいた」

原田は杯を置いた。い沈黙のあと、「度は混ぜたを戻そうとった」と言った。帳でい材の庫が減らず、借入の返済が迫っていただった。柱材として売れると分かると、先延ばしにした判断が次の判断を呼んだ。源吉はその話を聞き、「いつかやめられるとって続けると、やめるがなくなる」とつぶやいた。原田は返事をしなかったが、翌朝、代替材の支払いについて段踏み込んだ面を町会へした。

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