みかん小説
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"昼寝ばかりの嫁が、潰れかけの餅屋を救うまで" 第8話

忘れられていた百万円

美穂は階へがり、古い帳簿を冊抱えて戻ってきた。表は擦り切れ、端は何度も折られている。机のに冊ずつ並べ、を畳むための類のへ置いた。「の売だけで千万円を作るつもりはありませんでした。まず、すでにのへているおを戻します」

冊目に挟まれていたのは、商からしれた所に借りている倉庫の契約だった。文子は「今は古い蒸籠と米をし置いているだけ」と言った。美穂は先週、自分で現を見にっていた。契約には保証百万円とある。賃と管理費は毎引かれているのに、倉庫はほとんど使われていなかった。

「解約すれば全部戻るの?」と健が聞く。美穂は首を横に振った。「本来はかまでに通が必です。でも管理会社に相談したら、今にをすべてし、原状確認が終われば、保証の精算をめる方向で対応できると言われました」。話した、担当者名、条件までメモに残してある。

は契約の写しを読み、「返予定が確認できれば、賃の滞納分について支払いを組み直せる」と言った。伊藤も「としても、戻る見込みが面で確認できれば返済計画に入れられます」と頷いた。文子は呆然とした。「百万円なんて、自分でも忘れてた」

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。を守るため毎働きながら、使っていない倉庫へを払い続け、返ってくるはずの保証にさえ目を向ける余裕がなくなっていた。

美穂が倉庫へった、には売れ残ったの化粧箱や古い引、壊れた什器まで残っていた。処分すれば済むものに、文子たちは「いつか使うかもしれない」という理由で毎費用を払い続けていた。倉庫自体が悪いのではない。使っていないものを持ち続けることに、誰も値段を付けていなかったのである。

真弓は悔しそうに唇を噛んだ。「でも、保証が戻るまで待ってもらえなかったらないでしょ」。美穂は冊目の帳簿へを置いた。「だから、今払えるおと、戻るが決まっているおを分けて話します。全部を今現で用する必があるのか、それとも支払いの順番を決められるのか。そこを相と確認します」

文子は初めて、自分が「千万円」というきな数字に怯え、全部を度に用しなければならないとい込んでいたことに気づいた。美穂は借そのものを消しているわけではない。ただ、まとまった塊を、期と相ごとに分解していた。

林が子を膝からし、机へ置いた。「うちも、全額を今持ってこいと言ってるわけじゃない。いつ、いくら払うのか分からないのが番困るんです」

。文子は林の顔を見た。付きった材料だったのに、苦しくなるほど「待ってください」としか言えなくなっていた。

美穂は「払えないほど、相に何も言わず先延ばしにするのが番信用をなくします」と静かに言った。文子はその言葉を聞き、ここ数か、林からの話にるのが怖くて健へ任せていたことをいした。自分が逃げていたことも、数字と同じように見せられた気がした。

美穂は冊目の帳簿をいた。そこには、もっと文子が見たくなかった数字が並んでいた。「次は、売掛です」。文子の顔が固まった。

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