みかん小説
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"昼寝ばかりの嫁が、潰れかけの餅屋を救うまで" 第10話

を続けるための数字

冊目の帳簿には、これからのをどう回すかがかれていた。側に種類を作っていた頃の数字、側に種類へ絞り、予約を半分受け取る方式にしたの数字。材料費、廃棄、包装費、配達費、作業、予利益、借返済に回せる額まで並んでいた。

美穂は「売を最にする計画ではありません」と最初に言った。「おが残り続ける計画です」。百箱のような注文は、条件次第で見かけの売を増やしても、をらせる。逆にの販売数を決め、予約で材料代を先に確保し、廃棄を減らせば、売が以よりさくても現は残る。

真弓はまだ完全には納得していなかった。「でも、せっかく気がたのに、数を制限したらのに客が流れる」。美穂は「流れるもいます。でも、全部の客を取る必はありません」と言った。「このが壊れずに作れる量だけ売る。その方が、来も再来も同じをせます」

美穂はさらに、予約を取る理由を説した。注文を受けてから材料を買い、納品に代を待つやり方では、が客の注文を自分の借でて替えているのと同じになる。半額だけでも先に受け取れば、なくとも材料代と包装代をの現から持ちさずに済む。真弓は「客に嫌がられない?」

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と聞いたが、美穂は「嫌がる取引ほど、が負担していた能性があります」と答えた。

伊藤は美穂の表を自分でも計算した。何度か数字を入れ直し、最にペンを置いた。「この計画なら、保証の返還と売掛の最初の入が確認できれば、返済条件の調を本部へ申請できます。今ここで差し押さえに向けた理を確定する必はありません」。文子の指が実印の箱かられた。

も「賃については、決めたに決めた額が入れば、賃貸契約を続ける」と言った。林は「材料代も分割でいい。付きったがなくなるところまでは見たくない」と続けた。誰も借を帳消しにしたわけではない。しかし、「週に全部終わる」という状態から、「返す順番と期を決めて続ける」状態へ変わった。

文子は実印を箱へ戻し、蓋を閉めた。を畳むためにした印鑑は、度も朱肉に触れなかった。机のに残った解約類を見て、真弓がさく息を吐く。健は軽バンを売る話をいったん保留にし、配達を減らしたに本当に必かを計算し直すことにした。

しばらくして文子が聞いた。「この冊、いつから調べてたの」。美穂は「赤い通が貼られたからです」と答えた。「計算だけならくらいでした」。伊藤が笑う。「では、それ以のは?」

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「ほとんど寝ていました」

最初に伊藤が笑い、林も顔を伏せて肩を揺らした。は咳払いで隠そうとしたが、最には元を緩めた。健はで顔を覆い、真弓も呆れたように首を振った。

文子だけは笑えなかった。自分が毎「何もしない嫁」と見していた、美穂はので誰よりく働いていたわけではない。しかし、誰よりく「どこからが逃げているか」を見ていた。その事実が、恥ずかしさと堵を同に胸へ押し込んできた。

真弓はそので、百箱の注文をもう度に取った。以はきな売に見えた数字が、今はの現を吸いす穴に見える。「売った額じゃなくて、最に残るを見るんだね」と呟くと、美穂は「はい。売は入で、利益と現がです」と答えた。そのいやり取りを、文子は黙って聞いていた。

そしてその夜、文子は美穂の部のでを止めた。

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