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"昼寝ばかりの嫁が、潰れかけの餅屋を救うまで" 第15話

の返済表

が経った。餅はにもならず、号もしていない。昔からの板も、し褪せたままだった。変わったのは、ガラス戸に貼られたさな案内である。《当分は予約された方を優先します。予約は毎週曜午に受け付けます》。列を毎作ることより、無理なく続けることを選んだになった。

の奥の壁には返済表が貼られている。番にかれていた千百万円の数字は、何度もき直され、今は千百万円まで減っていた。まだきな借だ。それでものように増え続けてはいない。決めたに、決めた額を払い、残ったで翌の材料を買う。単純なことを、族全員で守っていた。

保証の百万円は返済へ回り、売掛も分割でしずつ戻った。には予定通り払えない取引先もあったが、以のように曖昧なまま放置はしなかった。真弓が連絡し、健が記録し、美穂が回確認する。相に事があれば支払を変更することはあっても、「いつか」で終わらせない。それだけで資の流れはきく変わった。

午、話が鳴った。真弓が受話器を取る。「はい、餅です」。相は今にもうし作れないかと頼んだ。真弓は作業を見た。文子は子に座り、よもぎの葉をえている。

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「申し訳ありません。本の分は終しました。次の予約は曜の午です」。迷いはなかった。

話を切ると、美穂が子から目だけけた。「断れるようになりましたね」

真弓は予約票をまとめながら答えた。「誰かさんが、欲張ったらと同じだって何回も言うから」

「回しか言ってません」

「顔が言ってるのよ」

のやり取りを聞き、健が笑った。文子も元を緩めた。以なら、美穂が寝ているだけで空気が尖った。それが今は、の景の部になっている。

閉、文子は帳簿を美穂のへ持ってきた。「今、円もわないところはないよ」。自信満々にいて見せる。美穂は収入と支をつずつ確認した。しばらくして指がで止まる。「お母さん。ここ、円いません」

文子は帳簿を取り返し、計算を叩いた。度、もう度。確かに円違う。健が吹きし、真弓も予約票でを隠した。

「円くらい、目をつぶってもいいでしょう」

美穂は膝掛けを畳みながら言った。「掛け売りも、そうやって始まったんじゃないですか」

真弓の笑い声がきくなった。文子は美穂を睨んでから、自分もつい笑ってしまった。数字を厳しく見ることが、誰かを責めるためではなく、族で笑える余裕を守るための習慣になっていた。

返済表の横には、もう枚さなが貼られていた。

《今できたこと》。そこには、借をいくら返したかだけでなく、《廃棄ゼロのが》《文子が午に帰れたが》《予約を断っても翌週また来てくれた客》とかれている。美穂が提案したものではなく、真弓が自分で始めた記録だった。の良し悪しを売だけで測らなくなった証拠でもあった。

返済額だけでなく、無理をしなかったを記録することが、今では族のしい習慣になっていた。

その笑いが収まった頃、文子はエプロンのポケットから古い札を枚した。「今、つだけ作ったよ。売るためじゃない。族でべるために」。

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