みかん小説
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"昼寝ばかりの嫁が、潰れかけの餅屋を救うまで" 第17話

赤いが剥がれた

さらに半、のがへ来た。には、最初のとは違うい封筒を持っていた。文子は瞬だけ構えたが、は笑いながら「賃の滞納分、これで全部理できました」と言った。への返済はまだ続いている。材料への支払いも完全には終わっていない。それでも、の入に貼られていた赤い通の理由のつが、正式になくなった。

文子はガラス戸の内側へ回り、く貼られたままだった赤いを見た。すでに期限を過ぎ、役目を終えただったが、文子はあえて残していた。あのを忘れないためである。端をそっと剥がすと、テープの跡が細く残った。

「捨てるんですか」と美穂が聞く。

文子はし考え、をつに折った。「帳簿のろに挟んどく。私がまた調子に乗って商品を増やし始めたら見せて」

真弓が笑う。「お母さん、もう増やそうとしてたでしょ。昨、桜餅のしいやつ考えてたじゃない」

「だけならいいだろう」

美穂がすぐ言う。「何個ですか」

文子はむっとして、「まだ決めてない」と答えた。健が「決めてから作ろう」と言い、真弓まで「予約数見てからね」と続ける。文子は方から止められ、「全員、美穂みたいになってきた」とぼやいた。

けれど、顔は笑っていた。

午、常連客がよもぎ豆餅を受け取りに来た。

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のに以ほどい列はない。美穂はそれでいいとっていた。毎列が続けば、また作る量が増え、文子が無理をする。話題は静かになっても、予約は定し、しい客の部は常連になった。

に「画を見て来た」というのには、今もに度訪れる客がいる。そのが「最は並ばなくても買えるようになって助かります」と言うと、文子は「作れる分しか作らないになったんです」と笑った。それは以なら、商売として恥ずかしい言葉だとっていた。今は違う。

そのの夕方、は帰り際に「最初の頃は、を閉める続きをするしかないとっていました」と言った。「でも支払いを守るは、こちらも待てる。何より、今は連絡がい」。文子はし顔を赤くした。以はからの話を避けていたことをいしたからだ。

作れる分だけ作る。払える分だけ払う。休めるに休む。そして、困ったほど相と話す。

赤いを帳簿へ挟む、文子は最初の付の横にさくきした。《このから、をさくする練習を始めた》。以の文子なら、をさくすることは負けだとっただろう。だが品数を減らし、営業をくし、注文を断るようになってから、はむしろく続けられる形になった。きくすることだけが成ではない。

その考えは、商売をしてきた文子にとって番しい発見だった。

文子は剥がしたのガラスを磨かなかった。い角い跡が残るたび、あの週をいせるからだ。真弓も「その方がいい」と言い、健はしい案内をし横へずらして貼った。失敗の跡を隠すのではなく、次に同じことをしないための目印として残す。その考え方も、美穂と暮らすうち族に根づいていた。

をく残すために、族が覚えたことは増えていた。美穂は赤いがなくなったガラス戸を見て、「跡、し残りましたね」と言った。文子は「そのままでいい」と答えた。「きれいに消えたら、忘れそうだから」。

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