みかん小説
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"正月に八人で来る嫁へ、家は売りました" 第3話

喪の雑煮と、踏みにじられた

夫がくなって初めて迎えた、の正。 世にはまだ喪であり、賀状もの祝い事も差し控えるのが筋だった。 の暮れ、息子の妻である彩佳さんから話がかかってきた。 『お母さん、お正、今も族できますねー』 「彩佳さん、今は喪だから、おせちもお祝いもできないのよ」 私がそう答えると、受話器の向こうから、呆れたような、で笑うような声が返ってきた。 『分かってますって! でも、喪だからってご飯をべないわけじゃないでしょ? 子供たちもお腹空かせますしー』

息子の直は現歳。宅設備器メーカーの営業職で、で半ほどれた隣県のベッドタウンに分譲戸建てを購入して暮らしている。 結婚してになる妻の彩佳さんは歳で、週にほどドラッグストアのパートにている。のには、学になる男のリクと、学の女の真央というの孫がいた。

喪の元、直は昼過ぎにがへやってきた。 私は夫の遺にをわせてもらうため、おせち料理の代わりに、から仕込んだ里芋と鶏肉の煮しめ、お雑煮を用し、駅の寿司から寿司の桶をつ取った。孫たちにはお玉袋の代わりに、無のいポチ袋にお遣いを入れて渡した。

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買いしも、調理も、い客用布団のげろしも、すべて私の肩に乗っかった。 階の押し入れから袋にしまってあった組の分い煎餅布団をで階段を使ってろすだけで、膝が笑い、息が切れた。

その、彩佳さんは居のこたつにく潜り込み、スマホの画面を指でスクロールし続け、度として台所を覗こうともしなかった。 直はといえば、昼からビールをあおり、テレビの特番を見てゲラゲラと笑っている。 「母さん、お茶。あとミカンある?」 夫がきていた頃なら、『直、自分の茶くらい自分で淹れろ!』としてくれたはずの面だった。 だが、その言葉を投げかけてくれる夫は、もう仏壇のさな写真のにしかいなかった。

夕の席で、彩佳さんは箸の先で私の作った煮しめの鉢をつつき、あからさまに顔をしかめた。 『お母さんの煮物って、なんかが古いんですよねー。醤油辛いっていうか、田舎臭いっていうか。うちの子たち、こういうの全然べないんで、次からは子供用に唐揚げとかポテトフライ揚げてもらえます?』 孫のリクの皿には、箸をつけられた形跡のない里芋と飾り切りの参が、たく転がっていた。 その煮しめは、くなった夫が、「頼子の煮しめは本だ」と言って、正のたびに番最初に箸を伸ばしてくれた、夫の好物だった。

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私は何も言い返せず、ただ黙って鉢をげた。 翌朝、玄関でブーツを履きながら、彩佳さんは振り返ってこう言い放った。 『お母さん、暮らしになってはたっぷりあるんだから、これくらいのお世話、平気ですよね? 来は喪もけるんだし、豪華なおせち料理、ちゃんとお願いしまーす!』

平気ですか、と聞かれたのではなかった。 「おは暇なんだから、これくらいやって当然だ」と、方に決めつけられたのだ。 がったの静まり返った台所で、私はシンクに積みになった油まみれの皿を、たいで枚ずつ洗った。 器棚の奥には、夫が使っていたの茶碗が、伏せられたまま乾いていた。 もう度と、この茶碗にご飯をよそうことはないのだという事実が、真の底えのように胸を締め付けた。

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