みかん小説
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"正月に八人で来る嫁へ、家は売りました" 第7話

留守宅の煙と、柿のの鳴

み替えの決を固めた私は、のうちに駅の産会社『産』の窓を訪ねた。 担当してくれたのは、代半ばのベテラン女性社員・堀内真理(ほりうち・まり)さんだった。 「川さん、焦る必はまったくありませんよ。まずは現のおまいの査定をいながら、ご希望にう駅の物件をじっくり探していきましょう。来の頃を目に、無理のないスケジュールを組みましょうね」 堀内さんの親な言葉にした私は、息子夫婦にはまだ何も話さないことに決めた。 話せば「正に泊まりにけなくなる」と、直や彩佳さんから猛反対されるのは目に見えていたからだ。まずは自分ので筋をつけ、契約の段階になってから事報告として伝えるつもりだった。

だが――「来のまでゆっくりと」という私の計画を、根底から々に砕する決定な事件が、の猛暑の週末に起きた。

の曜。私はを乗り継ぎ、夫の故郷であるあいの町へ泊の墓参りにかけた。 暮らしの齢者がを空けるため、週、息子の直には話で伝えておいた。 『から泊でお父さんの田舎のお墓参りにってくるからね。戻りはの夜になるわ』 『ふーん、解。

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気をつけてなー』 直はいつものように、スマホの画面を見ながらの空で返事をした。

墓参りを無事に済ませ、駅の温泉旅館に泊まった翌朝。 旅館の朝会で、女将さんが配そうに声をかけてくれた。 「川さん、夕方から沿いで猛烈なゲリラ豪の予報がていて、ローカル線のが運休になるかもしれませんよ。めにお戻りになられた方がよろしいかと」 私は予定を切りげ、昼の急にび乗った。

最寄りのバスをり、蝉がり注ぐ急な坂をってがのにたどり着いたのは、の午過ぎのことだった。 角を曲がった瞬、私の目にび込んできたのは、見覚えのない巨な黒いミニバンだった。 夫がくなってから空きスペースになっていたカーポートに、が物顔で斜めに突っ込まれている。 そして――庭の奥から、モクモクとちるい煙と、肉の焼ける脂っこい匂い、子供たちの嬌声がに乗って漂ってきた。

臓がドクンと嫌な音をてた。 恐る恐る玄関へ回ると、かけるにに施錠したはずの玄関ドアが、完全に解錠されていた。 (たたき)には、脱ぎ散らかされたのサンダルと子供のスニーカーが、散乱している。 廊の奥の座敷を覗き込むと、階からろされたのであろう客用の敷布団が組、敷きっぱなしのまま乱雑に折りなっていた。

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台所の蔵庫をけると、帰宅にで楽しみにべようと凍保しておいた国産の級ウナギの蒲焼きが尾とも消え失せ、シンクには何本ものビールの空き缶と、油まみれの皿が放置されていた。

震えるで裏庭へ回った私の目にび込んできた景に、全の血が逆流した。

柿ののに型のバーベキューコンロが据えられ、トングをにした彩佳さんが、肉を焼きながらビールを片に笑いしていた。 その横には、妹の美さんと夫の健さん。 芝のでは、の子供たちが声で叫びながらサッカーボールを蹴りっている。 直の姿はどこにもなかった。

「……彩佳さん。これは、体どういうことなの?」 私の絞りすような声に、彩佳さんが振り向いた。 トングをカチカチと鳴らしながら、彼女のから返ってきたのは、悪びれるなど微もない、あまりにも傲な言葉だった。

『あ、お母さん! かったですねー! 帰るの夜だって直さんから聞いてたんで、誰もいないならもったいないから、妹たち呼んで使わせてもらいましたよーw』

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