みかん小説
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"正月に八人で来る嫁へ、家は売りました" 第14話

かれた布張りノートの告発

私の静かな問いかけに、最初にをいたのは、妹の美さんだった。 膝ので握りしめた拳を震わせ、途切れ途切れの声を絞りす。

「川さん……わざわざ来ていただいて、すみません。……どうしても、姉の言っていることと辻褄がわなくて、お聞きしたいんです。……毎の、お正の費用のことなんです」

「費用のこと?」 「はい……。私、姉からずっとこう聞かされていたんです。『お正の買いしのおも、お酒も、子供たちのお玉も、全部うちが毎まとめて万円、お義母さんに現で渡しているから。川さんのは、所だけ借りているのよ』って……」

――所だけ、お借りして。 の元の夕方、台所で美さんがにしたあの解な言葉のピースが、カチリと音をてて嵌まった。 美さんは、彩佳さんがすべてのおを負担し、私が無償で所を提供しているだけの「親戚の集まり」だと信じ込まされていたのだ。 だからこそ、美さんは台所につ私に「所代の礼」だけを告げ、私のから買った寿司をべ、私の用したお玉を受け取っていたのだ。

「彩佳さん。あなたが私におを渡していた……ですって?」 私がややかに線を向けると、彩佳さんは顔を張らせ、虚勢を張るように胸を逸らした。 『そ、そうよ! 毎ちゃんとお正が終わったに、渡しで万円渡してたじゃない! お母さん、もうなんだから、物忘れが始まってるんじゃないの!?』

「物忘れ、ねえ」

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私はバッグのファスナーをけ、あの紺の分い布張りノート――『正帳』をドサリとテーブルの央に置いた。 全員の線が、古びたノートに吸い寄せられる。

「これはね、直の父親が、にあのを買ったから毎き残してきた記録よ。誰が来て、何をべ、いくら買いしに使い、誰にいくらお玉を渡したか。夫が、そして夫がくなってからのは、私が円の狂いもなくき残してきたの」

私はノートをき、ページをめくった。 「夫がきていた頃のページを見てごらんなさい。『頂いたもの』の欄には、親戚の産や、彩佳さんが結婚当初に持参した座の焼き菓子が、几帳面にかれているわ。……そして、これが夫がくなったのよ」

見きのページを指先で叩いた。 「昨、令。買いし万千円。お玉、リクと真央に万円ずつ、湊君と杏ちゃんに千円ずつ。……そして側の『頂いたもの』の欄を見てちょうだい。何ていてある?」

美さんがを乗りし、息を呑んだ。 「……なし……」 「そうよ。そして、令。が泊した正。買いし万千円。お玉、計万円。頂いたものの欄には、『坂のり子さんより最箱』とだけいてあるわ。あなたたちのお母様が持参された最箱のことまで記録するこのノートに、毎万円ものを受け取っておいて、かないはずがあるとうの?」

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私はのページに隙なく貼り付けられた、スーパー、魚、貸布団の領収の束を突きつけた。 「買いしにったのも、代を支払ったのも、すべて私の財布からたおよ。、私はあなたから、ただの円も受け取ったことなどありません!」

ピシッ、と静寂が張り詰めた。 彩佳さんの顔から、完全に表が抜け落ちていた。 「おい、彩佳……」 突っ伏していた直が、ゆっくりと顔をげた。その目は、信じられないものを見るように妻を睨み据えていた。 「お……末になるたびに『物入りだから』って、俺ののボーナスの遣いを万円も減らしてたよな? 母さんに正代を渡すからって……あの、体どこへ消えたんだよ!?」

彩佳さんの唇が、罠にかかった獣のようにワナワナと震え始めた。 だが、本当の獄の蓋をけたのは、静かに座っていた妹の夫・健さんだった。

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