みかん小説
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"正月に八人で来る嫁へ、家は売りました" 第19話

彩の柿のと、しい友

の声を聞く頃、私の活には、これまでのでわったことのない穏やかなリズムが定着していた。

朝に起き、向きのベランダで鉢植えのシクラメンにをやる。 エレベーターで階にり、澄んだの空気のを分ほど散歩する。 商の百で鮮な根を買い、魚で切りを切れ買う。 い荷物を抱えてあの急な坂をることも、に本のバスを凍えながら待つ必も、もうどこにもない。

曜の午は、駅の反対側にある央公民館でかれる彩画教に通い始めた。 紹介してくれた冴恵さんと並んで絵の具を溶き、画用に向かうは、驚くほどが洗われた。 私が最初に描いたのは、あの旧宅の庭にあった、本の柿のの絵だった。 夫が植え、見守り続けてくれた、あの懐かしい枝ぶり。 し形はいびつで、お世辞にもとは言えない絵だったが、講師の先は「とても温かい、の詰まった絵ですね」と褒めてくれた。

に度は、元隣の岡田清子さんが、バスに乗って居へ遊びに来てくれた。 「頼子さん、顔が本当に良くなったわねえ! あの軒にいた頃は、いつ見ても疲れた顔をしてたもの」 「そうかしら? 自分では分からなかったけれど、本当に体が軽いのよ」

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清子さんが持参してくれた作りの蕗の薹の佃煮をつまみながら、ない昔話にを咲かせる。 誰の布団も干さなくていい。 誰の皿も洗わなくていい。 自分のためだけに淹れたお茶が、これほどまでに芳醇で温かいものだということを、私は歳にして初めてったのだった。

の終わり、桜の蕾がほころび始めた曜。 居のインターホンが鳴り、ドアをけると、背がグンと伸びてしびたリクが、学姿でっていた。 ろには、し痩せて精悍になった直が、照れくさそうにっている。 「ばあちゃん、制、届いたよ!」 「まあ、リク! よく似っているわ! すっかりお兄ちゃんね」 私はを部に招き入れ、用していたちらし寿司と蛤のお吸い物を振るった。 、約束の入学祝いの熨斗袋を渡すと、リクは両で切に受け取り、々とをげた。 「ばあちゃん、ありがとう。切に使うね。……元の、ファミレスでもらったお玉も、使わずに机の引きしにしまってあるんだ。ばあちゃんのお、無駄にしたくないから」

リクの真っ直ぐな瞳を見て、私の目がくなった。 この子は、親の醜い争いを見つめながら、何が正しく、何が卑しいのかを、そのでしっかりと学んでいたのだ。 この孫の未来のためにも、私は自したい祖母であり続けなければならない――そう、から確信したの午だった。

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