みかん小説
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"昭和19年、三十二人が夕飯を拒んだ理由" 第13話

の医者

妙子のはがったりがったりを繰り返していた。体のり方を見て、町医者は度きな病院で診てもらう方がよいと話したが、積のためにが通れるか分からなかった。正雄は、自分たちの米から俵を回したというの補修をいした。が使えるようにするためにべ物を減らしたのに、肝のに通れないのでは、何のためだったのだろう。

玄は作業所の男たちに相談した。戸倉へ通じるは部だけ補修が終わり、坂のの曲がり角はまだ砂が残っていた。がくなれば荷は難しいが、が数で担ぐなら通れるかもしれない。作業所のが、炊事の男たちのにをるがいるとらせてくれた。寺と作業所のに、米以の相談が初めてまれた。

妙子を運ぶ、正雄は見送りにた。しのがい布団でくるみ、たかの父が縄で担架を作った。妙子は々しく笑い、「私が帰ってくるまで、またご飯をべないなんて言わないでよ」と言った。正雄は頷いた。「約束する。今度はべながら考える」。妙子はその返事にしたように目を閉じた。

にはたちが付き添った。正雄たちはから先へかせてもらえなかったが、寺に残ってできることを任された。い湯を用し、戻ってくるのために干した藁を敷き、濡れた類を乾かす所を空ける。

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自分たちでへけないことが悔しくても、今度は先の言うことを聞いた。無理をして子どもが倒れれば、妙子のためのが減るだけだった。

夕方になってもは戻らなかった。がくなり、寺の鐘の音がへ吸い込まれていく。正雄は最悪のことを考えまいとしたが、勇吉は何度もをけてを見た。節子は郁夫に算術を教え、しのは何度も同じ鍋をかき回していた。誰もにしなかったが、皆がつのことを待っていた。

夜遅く、ようやくたかの父だけが戻った。妙子は町の病院へ無事に着き、診てもらえることになったという。だが担架を運んだ男のが途でを痛め、戻るのにがかかっている。井は病院に残り、しばらく妙子の付き添いをすることになった。正雄は堵のあまり、廊に座り込んでしまった。

翌朝、正雄は作業所の男たちに礼を言おうとし、郎と緒にの端までた。かきの途だった男が、「が悪いのは分かってたんだ。もうしく直せればな」と言った。正雄は、俵の米を回してまでめたはずの補修がなぜ終わっていなかったのかを聞いた。男は渋い顔をした。「材を運ぶ仕事の方が先になった。役の言う通りだった」。

正雄には、初めてと米の関係が見えた気がした。子どもの病院へのを守るため、と聞かされていた事が、実際には別の運搬に優先されていた。

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何もかも嘘だったわけではない。を直す必も、働くの事も確かにあった。しかし誰が何を先にするか決めた、子どもの体のことはろへ回されていた。

午、藤岡が寺へ来て、の補修に関する類も確かめると話した。玄は「の争いを引かせないでほしい」と頼んだが、藤岡は頷くだけだった。正雄は自分の記録帳を持ち、「今は妙子が病院に着きました」とき加えた。腹を空かせていたの記録だけでなく、誰が病を運んでくれたのかも残しておきたかった。

数、妙子からいが届いた。「こっちでは温かい粥がました。先は私がべ終わるまで待ってくれます」。正雄は皆のでそれを読みげた。最初に事を拒んだ夜から、ようやく妙子がでべずに済む所へ移れたのだとうと、皆の目に涙が浮かんだ。しかし正雄は、寺に残ったの事のことも忘れられなかった。

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