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"4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い" 第18話

返された最の鍵

歳の誕は、さなの個でわれた。

参加者は。

義母、孝志、公平、そして私。

の古希祝いではもの親族を集め、級な料理を並べ、義母はまるで本の女主のように央へ座っていた。

今は違う。

「勢呼んだって疲れるだけだから」

義母がそう言うと、公平が笑った。

「やっと分かった?」

「うるさいわね。しは親を敬いなさい」

以なら刺のある声だったのに、今はただの親子の軽だった。

義母の表も随分柔らかくなっていた。

膝の痛みも以より楽になり、病院へも買い物へも自分でけているらしい。

事が終わり、員がお茶を入れて部をただった。

義母が急に私を見た。

「彩さん」

「はい」

彼女は子の横に置いていたさな鞄をけた。

何かを探す音の、乾いた属音が聞こえた。

テーブルに置かれたのは、し黒ずんだ古い鍵だった。

見覚えがある。

、私が義父母へ渡したの予備鍵だった。

「まだつ持ってたの」

義母は鍵を見つめたまま言った。

「、あなたが私たちにこれを渡してくれたのよね」

「はい」

「あの、くところもなくなった私たちに、『自分のだとってして暮らしてください』って」

義母は度言葉を切った。

「私、くみすぎたわ」

私は黙っていた。

「くんでいるうちに、誰がこの鍵をくれたのかまで忘れたふりをしてた」

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義母の声は震えていた。

「本当は分かってたのよ。私のじゃないって。の改修のだって、あなたの承諾が必だって分かってた。公平に譲るって言ったも、本当は分かってた」

孝志も公平も何も言わなかった。

「でも認めたら、私はも嫁の善に甘えて暮らしてきたって認めることになるでしょう。それが嫌だったの」

初めて聞く、義母本の言葉だった。

「を失った、親戚のにるのが恥ずかしくて仕方なかった。でもあなたのにみ始めて、みんなが『派なね』って言ってくれるようになった。いつのにか、あのが私の価値みたいになってた」

義母が顔をげた。

「あの、あなたのです」

かけて、ようやくた言葉だった。

私はテーブルのの鍵をに取った。

「はい」

義母がしだけ苦笑した。

「そこ、もうし何か言うところじゃないの。『やっと分かったんですね』とか」

「必ないです」

私が笑うと、義母もさく笑った。

溜め込んだものを、全部ぶつけたいとはわなかった。

謝罪を何回聞いても過は変わらない。

それより、もう同じ状態へ戻らないことの方が切だった。

をる、義母は自分のさな鞄を肩にかけた。

「じゃあ私、帰るわ。は隣のとスーパーへく約束してるから」

「送らなくて丈夫?」

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公平が聞くと、義母はを鳴らした。

「駅からいんだから平気よ」

その背は、億円のにんでいた頃よりずっとさかった。

けれど議と、以よりしっかりして見えた。

数、私は孝志と改修のを訪れた。

しくなり始めた壁の向こうから、初のが入ってくる。

夫がまた聞いた。

「完成したら、どうする?」

私は返された鍵をポケットので握った。

「まだ決めない」

「またそれか」

「いいでしょう。私のなんだから」

孝志は笑いながら頷いた。

「そうだな」

、私は善で本の鍵を渡した。

その善には、何の条件もつけなかった。

だからこそいつしか、相には「当然の権利」に見え、私自も境界をにすることをためらうようになった。

でも今は分かる。

誰かを助けることと、自分の権利を放すことは同じではない。

族を切にすることと、理尽を黙って受け入れることも同じではない。

庭へ差し込むるい差しので、私は古い鍵をもう度握った。

億円という値段よりも。

失いかけていた決定権よりも。

私が最に取り戻したものは、自分のを自分で選んでいいという、ごく当たりの自由だった。

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