"義両親をこき使う伯父に、嫁の私が反撃した日" 第5話
の「恩」と、義父の告
法事の解散、私たちは気まずい沈黙が充満するに乗り込み、義父母のへと向かった。 運転する健太の背も、助席の私の肩も、りと緊張で張っていた。 部座席では、義父と義母がを寄せい、ただ窓のを流れる夕暮れの並みを見つめていた。
築の古い本に到着し、居の座卓を囲んだ、私は自ら台所にってい緑茶をつ淹れた。 湯呑みを配り、座布団のにきちんと正座して、義父母の目を真っ直ぐに見据えた。
「お義父さん、お義母さん。先ほどは過ぎた真似をして申し訳ありませんでした。……でも、教えてください。、国男伯父さんに助けてもらったというのは、体何があったのですか?」
義父の隆さんは、湯呑みを両で包み、く、いため息をついた。 「……なおさん。ってくれた気持ちは、本当に嬉しいよ。でもね、兄貴が私たちの命の恩なのは、紛れもない事実なんだ」
義父のいから語られたのは、の壮絶な過だった。 当歳だった義父が勤めていた械部品メーカーが、取引先の連鎖倒産に巻き込まれ、触れもなく破産。退職もず、義父は突然の失業に追い込まれた。 況の、再就職先は見つからず、預貯は底をつきかけた。 その最悪のタイミングで、義母の典子さんがい内臓疾患で倒れ、緊急術が必になったのだという。
広告
「術費用に入院費、当面の活費……。育ち盛りの健太を抱えて、収入はゼロ。貯も底をつき、親戚を頼んで回ったが、どこも払いだった。……そんな、最に頼み込んだのが、自営のをちげて羽振りの良かった兄貴だったんだ」
国男伯父さんは、『弟の始末を兄がケツを拭いてやるんだ、謝しろ』と義父を激しく罵倒しながらも、そので現百万円を用ててくれたのだという。 そののおかげで義母は命を取り留め、数ヶには義父も清掃会社の正社員として再就職が決まり、は最悪の危を脱することができた。
「あの百万円がなかったら、典子はんでいた。がは完全に崩壊していたんだ。……だから、兄貴にはどれだけ謝してもりない。理尽な扱いを受けようと、雑用を言いつけられようと、命を救ってもらった恩には代えられないんだよ」
義母も目をハンカチで押さえ、静かに涙をこぼしていた。 「忘れてはいけない恩だと、で決めたのよ……」
隣で聞いていた健太も、学学だった当の貧困の恐怖をいしたのか、辛そうに線を落としていた。
なるほど、と私はった。 確かに百万円は途方もないだ。そのの国男伯父さんの決断が、義父母を救ったのは事実だろう。 だが、借があるからといって、にわたって格を否定され、親族ので奴隷のように扱われていい理由にはならない。
広告
(もし、その借の返済がまだ終わっていなくて、負い目をじているのだとしたら――) 私はので、自分たちの夫婦の貯蓄額を計算した。 健太と共働きでコツコツ貯めてきた定期預を取り崩せば、百万円や百万円なら、の括返済だって能だ。
「お義父さん」 私は決を込めて、を乗りした。 「事はよく分かりました。命の恩ですね。……ですが、確認させてください。その百万円の借は、現、残額がいくら残っているのですか? もし返済が滞っているせいでががらないのなら、私たちが全額て替えて括返済します。もう、あんな惨めないは終わりにしましょう!」
私の必の提案に、義父はポカンとをけた。 そして、眉をの字にげ、まるで異次元の言葉を聞いたかのように目を丸くした。
「……え? 残額?」
「はい。あと何万円残っているんですか?」
義父は私と健太の顔を交互に見比べ、それから何でもない常の事実を述べるように、あっさりとこう言ったのだ。
「返したよ。全額きっちり、に利子までつけて返済し終わっているよ」
「……は?」
私のから、抜けな声が漏れた。 に、完済している――!? では、今のあの「恩を返せ」という侮辱の数々は、体何だったのか!? 脳髄を鈍器で殴られたような衝撃の、義母の典子さんが、血の気の引いた顔で静かにちがった。
そして、奥の仏から、震える両である「古い箱」を抱えて戻ってきたのだ。
その箱の底から現れた類の数々が、封印されてきた、あまりにも残酷な「族の嘘」の扉をこじけることになるとは――このの私たちは、まだる由もなかった。
(編・
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路
結婚生活のすべてを一円単位で折半しながら、家事だけは妻に押しつけていた夫・亮介。「お前は寄生虫だ」と離婚を突きつけられた綾乃は、静かに別れを受け入れた。 その翌日、実父と高級ホテルで食事をしていると、偶然現れた亮介と不倫相手が「もう次の金持ちを捕まえたのか」と嘲笑する。因果応報|夫婦|真実|金銭問題|修羅場|不倫1.9万字5 2 -
完結第12話
大家だった姑の逆転
夫を亡くしてから、息子を育てながら八世帯のアパートを守ってきた私。四十歳の息子が迎えた若い嫁は、「お母さんを支えたい」と同居を望んだ。ところが結婚後、私は台所にも立てず、夕食は寝室で一人。ついには「年金暮らしの無職は邪魔。出て行って」と言い放たれる。嫁が信じていたのは、息子がアパートの大家だという嘘だった。本当の所有者が私だと知っても、息子夫婦は名義を譲るよう要求してくる。私は静かに承諾した。しかし、二人が欲しがったアパートには、まだ知らない重大な問題が隠されていた。親不孝|裡の顔|絶縁|親子関係|退職金|金銭問題1.6万字5 0 -
完結第18話
4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い
義父母が住む場所を失った十五年前、黒田彩は自分名義の家を無償で貸した。ところが義母・文子の古希祝いで、突然「あの家は次男の公平に譲る」と宣言される。親族が賛同する中、普段は母親に逆らえない夫が立ち上がり、衝撃の事実を告げた。しかし義母は、彩が昔書いた一通の手紙を持ち出して反論。因果応報|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|金銭問題2.0万字5 61 -
完結第22話
空の米びつと一合の嘘
昭和二十三年、大阪の小さな米屋で、女将のフミが配給米を一合ずつ少なく渡しているという噂が広まった。怒った住民たちが店へ押しかけ、米を隠しているはずの台所を調べると、そこにあったのは空っぽの米びつと薄い麦粥だけだった。なぜ客の米を減らしながら、自分の子どもにさえ白いご飯を食べさせられないのか。母の沈黙を不審に思った長男・勇一は、配給帳と運送記録を調べ始める。やがて浮かび上がったのは、途中で姿を消す米袋、受け取っていないのに押された印、そして二年前に亡くなった父の署名だった。時代|歴史|昭和|兄弟姉妹2.8万字5 20 -
完結第10話
亡霊の専属運転手
かつて海外の特殊部隊で「ファントム」と恐れられた神代美央は、戦場を離れ、平穏な人生を求めて大企業の会長専属運転手に応募した。しかし最終面接で待っていたのは、「女に会長を守れるわけがない」と嘲笑する副社長と、十一人の屈強な男たち。美央だけが、彼らのスーツの下に隠された拳銃に気づいていた。やがて現れた鷹司会長は、美央の履歴書を見た途端、激しく震え始める。職場逆転|真実|真相|第二の人生1.5万字5 146 -
完結第20話
消された十六番目の席
六十二歳の高田かず子は、亡き夫と二人で建てた家で、息子夫婦と暮らしていた。家事も生活費も負担し、家の中で自分の居場所を失いながらも、家族のために我慢を重ねてきた。ところが正月、十五人の親戚をもてなした末に、息子から「母さんの席はないから留守番で」と告げられる。嫁には「身内だけで楽しみたい」と笑われ、帰宅後の布団の準備まで押し付けられた。そんなかず子に、老舗寿司屋の大将から一本の電話が入る。因果応報|人生逆転|裡切られた|夫婦|親不孝|親子関係|修羅場2.6万字5 407 -
完結第20話
玄関のピンクのウサギ
六十歳の元教師・田島美香は、息子夫婦を助けるため、三年間にわたり孫の世話をしてきた。久しぶりに夫を驚かせようと自宅へ戻ると、玄関の暗証番号が変わり、見知らぬピンクのスリッパが置かれていた。台所から現れたのは、夫と二年近く暮らしていたという女性。さらに調べるうち、夫婦の貯金から消えた百五十万円、売られていた母の形見、そして自宅をめぐる恐ろしい計画が明らかになる。夫婦|裡の顔|第二の人生|修羅場2.8万字5 273 -
完結第10話
機内で私を叩いた息子の愛人、空港で知った私の正体
新氏グループの会長・玉金は、息子への株式譲渡を決意し、予定を早めて帰国する。ところが機内で、息子の婚約者を名乗る若い女に席を譲れと迫られ、頬を叩かれてしまう。しかも女の腕には、かつて玉金が息子の正妻・寄舟に贈った家宝の翡翠があった。息子に電話をかけても、返ってきたのは母を侮辱する言葉ばかり。怒りを抑えて空港に降り立った玉金を待っていたのは、愛人が用意した警備員たちだった。しかし、そこへ現れた寄舟の一言が事態を一変させる。裡切られた|嫁姑|第二の人生|親子関係|修羅場1.4万字5 258