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"昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇" 第7話

運転の言い分

午半、島交通の事務所には警察からの連絡が入った。号の運状況と、誰の指示で現へ向かったかを確かめたいという。は受話器を置き、苗へ声で言った。「臨の回送だったと説しておけ」。苗は返事をしなかった。回送のがなぜ留所のそばで扉をけたのか。その説をしなければ、事故を経験したの疑問は解けない。

清徳が戻ると、社員たちはを閉ざした。目をわせようとしない者もいた。運転仲のが肩を叩き、「最初に断ったのは正解だったな」とささやいたが、清徳はその言葉をべなかった。自分が正しかったことを証するために、子どものが折れたわけではない。

夜、誠は自宅で赤ん坊をあやしながら、しい側通の図を何度も見返していた。妻は「もう覚えたでしょう」と笑ったが、誠はを言葉にできなかった。運転の技術よりも、司の言葉に逆らった、自分の居所がなくなることを恐れていた。その恐れを話さずにをたことが、今は胸につかえていた。

誠は事故の状況を面にまとめるよう求められていた。机のには会社側で用した式があり、『予定の乗客の呼び掛けに応じ、乗のため』と印字されている。誠はそこへ署名しようとしていた。

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「予定は違いじゃないでしょう」とが言う。清徳は式をにしたまま、何度か読み返した。どの言葉も見すると嘘ではない。だが『乗させる目で臨便をらせた』という肝な事が抜け落ちていた。

「このまましたら、おが勝に客を拾ったことになる」と清徳は言った。は顔をばらせる。「会社が潰れたら、全員の族はどうなる」。清徳はゆっくり頷いた。「それは分かる。でも事実を細く削っても、浩君のは元には戻らん」。そのにいた苗が、話の記録を机へ置いた。午分、丘臨点への回送指示。受けた者の名とき先が残っていた。

「私がきました。話で指示を受けたとおりです」

は苗を見つめた。彼女はを引っ込めなかった。若い事務員だから黙っているだろうとわれてきたことに、気づいていないわけではなかった。だが今は、誰が計を何分見たかがの子どものけがに関わる。記録を曖昧にしてしまえば、同じ刻表を使うほかの線も直せなくなる。

そこへ清徳の息子・平が汗まみれの作業で入ってきた。丘丁目の留所をに使用しないよう、管理の担当者へ伝えにった帰りだという。「父さん、あそこの元は点検のし直しが必です」。清徳は「分かっている」

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と答えたが、平は首を振った。「分かってるだけじゃ駄目だ。危険箇所として正式に伝えなければ、今夜も同じ所にがつ」。

親子は久しぶりに正面から顔をわせた。清徳は息子の言葉を聞きながら、かつて自分が『の仕事だ』と馬鹿にしたの点検記録をいした。類がを守ることもある。逆に、類にかれないがを危険にさらすこともある。運転席から見える景だけでは、のすべては分からなかった。

はしばらく沈黙してから、誠へしい用を渡した。「最初から自分の言葉でけ」。が責任を引き受けたわけではない。それでも、なくとも嘘を提にする話だけはそこで止まった。清徳は苗に次の便の状況を尋ねた。彼女は帳をいた。「困っているのは、丘だけじゃありません」。

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