"昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇" 第9話
線の向こう側
昼、平は父を丘丁目の坂へ案内した。今朝の事故が起きた所からしれたところに、真しい留所標識がっている。舗装に引かれた線はまだく、板の文字も汚れていない。見すれば備が終わった所に見えた。ところが実際に歩いてみると、標識と排溝のはった以に狭かった。
「図面では幅がりているんです」と平は言った。「でも、ここへつがとは限らない。傘を差す、杖をつく、買い物袋をげたがいたら……」。平は作業靴を並べ、線の端で体を横向きにした。その姿を見ると、清徳にも問題がよく分かった。幅が数字で満たされていても、そこにがしててるかどうかは別の話だった。
所の雑貨主・島袋ハルは、の話を聞いてからてきた。「ここへ来る寄りは、バスが止まるまで私ので座って待っていたんです。しい所はから見えない。そしたら皆、の端で待つでしょう」。彼女はさな子を持ちしたが、留所のそばへ置こうとしてやめた。子を置けば歩くのがなくなる。
平は管理の担当者へ、現から話をかけた。清徳はその、バスの体の幅をいしながら位置を目で測っていた。ここでまれば客はどこへりるのか。
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反対から来るはどこを通るのか。数字は度もてこないのに、危険な形だけが目のに浮かんだ。
やがて担当者が現れた。若い技師で、図面の入った筒を肩にげている。「実施の確認では支障なしでした」と言いかけ、現につ老の姿を見て言葉を止めた。ハルがの常連を呼んでいた。腰の曲がった女性は杖をつき、線の内側へとうとすると、片を排溝のふたに置かざるを得なかった。
い線の内側にった女性は、杖を持つを持ち替えるたびに体の向きを変えなければならなかった。よけの子のつばが側へるので、本は無識にを引っ込めている。清徳は自分が内から見ていた『客の列』が、面へりればずつ違う姿をしていることをいらされた。平はそので歩の幅と溝の位置を測り直し、図面の余へ『実際の待数を定して再確認』とき込んだ。
「これを使える所と言うんですか」とハルが聞いた。技師はすぐには答えられない。清徳は責める代わりに、「度、ここのバスを止めて、別の所を決めましょう」と言った。留所の移設には許と調が必だ。勝に板を抜くわけにもいかない。それでも危険をりながら客をたせておく選択はできなかった。
そので関係者はくの広い沿いの候補を歩いて確かめた。
数分の距に、比較幅のある所が見つかった。だが今度は、そこまで歩く坂が寄りにとって負担になる。「全な所へ変えましたと言われても、そこまでけなければ同じです」とハルが言う。清徳は頷いた。危険をなくしたつもりで、別のを置きりにしてはがない。
平が候補のを何度も歩き、技師がの旋回位置を確かめた。昼のい差しので、仕事の違うが同じをったり来たりする。きな式典で完成を宣言したも、はまだ現実のにわせて作り直さなければならなかった。清徳はようやく、息子の仕事が何を相にしているのかし理解できた気がした。
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