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"昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇" 第15話

坂の

に入ると、い差しのにいがるが続いた。丘丁目の留所については、管理の担当者と交通関係者の協議がねられ、当面は別の所を案内する方針になっていた。しかし利用者からは満が寄せられた。のに坂を余分に歩くのは寄りにはつらい。買い物帰りの母親は、荷物と子どもを抱えて移しなければならない。

清徳は今度こそ、その満をただの苦として片づけたくなかった。ハルの雑貨で、町内の々と話しうを設けてもらった。最初は数のつもりだったが、の奥の狭い座敷に以が集まった。杖をつく、仕事を退してきた、幼児を連れた若い母親。それぞれ必な留所の位置が違い、同じでも見え方が違うことが分かった。

「ここは根があるからいい」と老が言えば、「が曲がるに危ない」と若い母親が答える。「向こうはが広い」と主が言えば、「のはがたまる」と別の民が言う。清徳は黒板の代わりにきな包装を敷き、皆の言葉をつずついた。会社の事務所にいるは気づかなかったことが、暮らしているのから次々とてきた。

途で平が遅れて入ってきた。管理の現を見て回っていたため、作業にがついている。

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「図面だけでは分からないところを教えてください」とをげると、民のが皮肉っぽく言った。「今さら聞くのか」。平は黙って受け止めた。それから、「今さらになったことも含めて、聞かせてください」と答えた。その言葉に、部の空気がし変わった。

会で番若い母親は、それまで黙っていたが最にをげた。「私は子どもを抱いていたら、細いでは傘を差せません」。すると配の男が「昔はみんなそうして歩いた」と言いかけ、ハルに遮られた。「昔のを、しいの決まりにしなくてもいいでしょう」。その言で男もを閉じた。しい交通の話をしているはずなのに、いつのにか誰に便をさせるかという、昔からの問題が顔をしていた。

皆の見をねるうち、な所が候補に残った。雑貨からしれた、古い製糖作業のである。現は荷物の入りがなく、歩にも余裕があった。ただしそこへ留所を移すにはの利用者との相談が必で、乗客が全に渡れる所をどう確保するかも検討しなければならない。民の発案だけで決められることではなかった。

「勝に決めて、あとで皆にられるよりいいですよ」と平が言った。清徳はその横顔を見て、以なら『決めるのが遅い』と叱っただろうとった。

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ところが今は、答えをすことより、答えが誰にどんな負担を残すかを確かめる方が事にえた。

話しいの帰り、にわかがり始めた。清徳と平は同じ軒に入り、脚がまるのを待った。「父さん、あの夜の話を覚えている?」と平が尋ねた。清徳は頷いた。「俺がもっとく、ちゃんと聞いていればよかった」。平は首を横に振った。「俺も、図面に印を付けただけで伝わったとっていた。危ないと言い切るのが怖かったんだ」。

はしばらくを見つめた。父はい経験を盾にし、息子は専の図面を盾にしていた。けれどどちらも、をかすための言葉を分に持っていなかった。のをしい側通のバスが台、慎に坂をりていく。清徳はその姿を目で追い、もまた同じで、まだらない問題が見つかるのだろうとった。

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