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"同窓会で頭取の娘に脅された俺、300億を全額解約" 第20話

のるホームで、確かな温もりを

。官公庁やくの企業が仕事納めを迎えた、の瀬の夕暮れ。 俺は元での規物流センター用の察を終え、京へ戻る幹線を待つため、がい散る駅の改札へと歩いていた。 吐く息がく染まり、カシミアのコートの襟元をがすり抜けていく。

「……ひろ君!」

背から掛けられた、澄んだ温かい声にを止めた。 振り返ると、分いネイビーのダッフルコートにマフラーを巻いた砂子が、両に持ったトートバッグを抱きしめるようにして、りに駆け寄ってくるところだった。 い息を弾ませ、頬を林檎のように赤らめている。

「砂子……どうしたんだ? 仕事は?」 「さっき、図館の仕事納めが終わったの! 駅の売で末の本を買おうとって寄ったら……ひろ君のろ姿が見えたから」 砂子はそう言って、はにかむように微笑んだ。 その笑顔を見た瞬、え切っていた俺の胸の奥底が、の陽だまりのように温かいぬくもりで満たされていった。

「幹線のまで、まだしあるか?」 俺が尋ねると、砂子は嬉しそうに頷いた。 「うん、分くらいなら丈夫」

駅構内のさな待。 自販売で買った百円の温かい缶ほうじ茶を本買い、本を砂子の渡した。 「あったかいね」

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「ああ、あったかいな」 並んでベンチに腰掛け、ガラス窓ので音もなくり積もる牡丹を眺める。

「ひろ君、今も、本当にお疲れ様でした」 砂子が改まったように、隣でさくをげた。 「砂子もな。……子供たちに、たくさん本を届けられたか?」 「うん! 昨もね、いつも絵本を借りに来る男の子が、『お姉ちゃん、ありがとう』っておをくれたの。宝物なんだ」 女のように目を輝かせて語る砂子の横顔を、俺は見つめた。

千億円の売も、百億円の預も、この待の温もりのでは何のも持たなかった。 があるから寄ってくるは、がなくなれば潮が引くようにっていく。 肩きがあるからをげるは、肩きを失えば平気で踏み躙ってくる。 だが、このは違った。 何もない、ツギハギの制を着てにまみれていた歳の俺を信じ、千億円をにした歳の俺の体をただ案じてくれた。

「砂子」 「ん?」 「来……京に来ないか。美い飯をわせたいがあるんだ」 砂子は湯呑み代わりの缶茶を両で包んだまま、驚いたように目を見張った。 そして、俺の真剣な差しをじっと見つめ、やがてその瞳を潤ませながら、がほころぶように優しく笑った。

「……いおじゃなくて、港堂みたいな、あったかいおなら……んでくよ」

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「ああ。世界で番温かいを、予約しておく」

ホームに、京きの最終幹線の接を告げるアナウンスが響き渡った。 改札へ向かう階段ので、俺たちはち止まり、向きった。 「じゃあね、ひろ君。良いおを」 「ああ、砂子も。……邪ひくなよ」

改札を抜けて振り返ると、砂子はのるガラス窓の向こうで、両をさく振っていた。 、放課の教で、机のに冊のノートを届けてくれたあのと、まったく同じ優しい仕で。

幹線の窓側の席にく腰掛け、俺はコートの内ポケットにを当てた。 そこには、財布でも帳でもなく、あの、港堂で砂子が触れてくれた、あの古い冊目の学ノートが切に収められていた。 列が滑るようにきし、に煙る故郷の並みがざかっていく。

や肩きなど、の飾りに過ぎない。 本当に切なものは、誰にも見えない所で、己の誇りを懸けて流した汗と、何もないに隣でを握り続けてくれたの温もりだけだ。 胸の奥に灯った消えることのない炎を抱きしめながら、俺はしい未来へ向けて、静かに瞳を閉じた。

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