"「妻に休んでほしい」退職夫が勝手に決めた私の人生" 第5話
らないところで決まった曜
「話がついたって、何のこと?」
健太は私と夫を交互に見た。「里奈が来から曜だけ勤務を延ばすんだ。保育園のお迎えがにわないから、母さんに頼めるって父さんが言ってた」。里奈が慌てて「私はまだ正式にお願いしていません」と付け加えた。真帆も夫の顔を見て、何かを言いかけたまま止まった。
夫は咳払いをした。「おが仕事をやめればができるだろう。孫のことだし、いいとったんだよ」。私はすぐには返事ができなかった。曜の午に芸講座へ通うと何度も話していたのに、その同じを夫は別のに約束していた。
「お父さん、母さんに確認してないの?」と健太が聞いた。夫は「そんなげさな話じゃないだろう。族なんだから助けえばいい」と言った。助けう。その言葉自体は嫌いではない。私だって孫たちがをしたとき、何度も迎えにった。里奈が仕事で遅くなるは夕を作り、健太が張のときは泊まりに来てもらったこともある。
でも、私に相談せずに引き受けた約束を、あとから私の義務にするのは違う。私は夫に向かって聞いた。「いつ健太に言ったの?」。夫はし考え、「先週だよ。退職したらのことはでやれるって話になって」と答えた。
先週なら、私はすでに講座へ申し込んでいた。
広告
確認メールを見せて、楽しみにしていると話したよりだ。私はその事実を確かめるように、夫の顔を見た。「私が曜にかけるってっていて、健太に引き受けると言ったの?」
夫は目をそらした。「講座なんて、いつでも変えられるとったんだよ」
その言で、胸の奥がすっとえた。私が申し込んだ予定は、夫にとって族の用事が入ればかせる仮の予定でしかなかったらしい。健太の仕事も里奈の仕事も切だ。孫の保育園のお迎えも、もちろん切だ。それなのに私の仕事と講座だけは、最初からかすものとして扱われていた。
「里奈さん、勤務の変更はもう決まってる?」
「来のシフトをすです。できれば延ばしたいとっていただけで、お母さんが難しければ別の方法を考えます」
里奈は申し訳なさそうにをげた。私は首を振った。「あなたが謝ることじゃないよ。必なら相談して。できるもあるとう。でも毎週曜を空ける約束はしていないの」。健太は「分かった。俺も父さんの言葉だけで決まったとってた」と言った。
夫は満そうだった。「何だよ、俺だけが悪いみたいじゃないか。孫のためにとっただけだろう」。私は夫を責めたい気持ちを抑えて言った。「孫のために何かしたいなら、まず自分にできることを約束して。
広告
私のを使う約束を、私抜きでしないで」。
真帆は夫を見て、「私も母さんに頼むとき、空いているだろうって決めつけてた」と言った。健太も「父さんから聞いたから、もう確認しなくていいとった」と頷く。私はを責めたくなかった。子供たちは私がいつものことを引き受ける姿を見て育ったのだ。だからこそ、これからは違う姿も見せたい。自分の予定を持ち、できないことを断っても、族を切にしていることに変わりはないと。
夫は黙った。孫のが夫は黙った。孫のが「おばあちゃん、今のケーキはいつべるの」と尋ね、里奈が笑って「ご飯のあとだよ」と答えた。祝いの席に戻りたいのは私も同じだった。けれど、ここで曖昧にしてしまえば来には、私はまた曜の予定を取り消すことになる。
私はエプロンを子の背にかけ、夫の隣ではなく自分の席に座った。「修司さん。来の曜は私の予定がある。それは変えないよ」。夫が何かを言いかけたとき、真帆が静かにをいた。「お父さん、実は私も、母さんが仕事をやめるって聞いてた」。私は娘を見た。夫が勝に決めたことは、っていたより広く族に伝わっていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
息子が遺した証拠
長野県松本市に暮らす70歳の元宮大工・柏木源一郎は、一人息子の健太を交通事故で亡くした。しかし、慎重だった息子が居眠り運転をしたという警察の説明に、どうしても納得できない。 そんな中、同居を始めた嫁の美咲が、毎週木曜の夜に化粧をして外出し、若い男の車に乗っているという噂を耳にする。さらに息子の勤務先から、500万円の見舞金と引き換えに不可解な合意書への署名を求められる。 嫁を信じたい源一郎は、ある夜、密かに後を追う。そこで目にしたのは、息子の死につながる恐ろしい事実だった――。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場2.3万字5 44 -
完結第15話
三十八年目の帰る場所
六十二歳の美津子は、三十八年間、夫と娘を支え、義母の介護も一人で担ってきた。ところが海辺の実家へ二泊すると告げた朝、夫は「戻ってこなくていいぞ」と笑い、娘まで同調する。 その言葉をきっかけに、美津子は本当に帰らないことを決意する。しかし夫は「この家は俺のものだ」と激怒し、離婚まで口にした。 そんな夫の前に、美津子が差し出したのは、亡き父が残した土地の登記と三十八冊の家計簿だった。 誰にも認められなかった三十八年間の人生を取り戻す、一人の女性の静かな決断と再出発の物語。夫婦|ATM扱い|絶縁|金銭問題|熟年離婚2.0万字5 30 -
完結第10話
四年分の介護記録
四年間のシンガポール赴任を終え、出世を手に帰国した52歳の高橋健一。胸には、妻・由美に突きつけるための離婚届があった。 しかし帰宅した彼を待っていたのは、真っ白な髪と痩せ細った体に変わり果てた妻、そして半年前に亡くなった母の仏壇だった。 重度の認知症を患った義母を、たった一人で介護し続けた由美。夫が毎月送った30万円では到底足りず、彼女はすべてを犠牲にしていた。 そして由美が差し出した四年分の介護記録と、亡き母が残した最後の遺言が、健一の人生を大きく揺るがしていく。嫁姑|夫婦|親子関係|介護1.7万字5 47 -
完結第20話
葬儀3日後、姑に追放された私に亡き夫からの連絡
物流センターの事故で夫・直人を突然失った41歳の美和。しかし義母の数枝は、妻である美和に夫の顔を見ることすら許さず、葬儀を強引に取り仕切る。さらに葬儀の三日後、香典三百万円以上を独占し、13歳の娘・咲と美和を雨の夜に家から追い出してしまう。 絶望の中、親友に助けを求めた美和のスマートフォンに、午前四時、信じられないメッセージが届く。 「生きてる。母には言うな」 送信者は、火葬されたはずの夫だった。 閉ざされた棺の中にいたのは誰なのか。義母が隠そうとしたものとは――。夫の事故をめぐる疑惑と家族の裏切りを描く、衝撃の逆転サスペンス。因果応報|嫁姑|夫婦|親子関係|金銭問題2.3万字5 36 -
完結第16話
母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日
亡き母の初盆へ帰ろうとした由美は、義父から「籍を抜いて出ていけ」と言い渡される。結婚二十五年の夫・浩司も味方にはならず、由美は静かに家を出ることを決意した。 しかし、義父一家が暮らす家の土地は、十五年前に母が購入した由美名義のものだった。さらに夫が、その土地を無断で借金の担保にしようとしていたことが発覚する。 母の残した古い鍵と書類を手に、弁護士を訪ねた由美。やがて明らかになる夫の裏切りと、義父母が隠していた計画。二十五年間耐え続けた妻の、静かな人生逆転の物語。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.3万字5 59 -
完結第13話
三千円の温泉旅行
町内会の会計を務める68歳の森川静子は、秋の日帰り旅行を一人三千円の温泉宿に決めた。ところが、副会長の妻・矢野夫人は「貧乏くさい」と不満を漏らし、勝手に高級旅館へ行き先を変更。会長の了承を得たと嘘をつき、参加者まで誘い出してしまう。 旅行当日、矢野夫人から突然「積立金三十万円を出しなさい」と電話が。拒否した静子は、今度は会費の使い込みを疑われ、町内中に帳簿の写真を広められる。 しかし、その写真と案内状には、矢野夫人が見落とした決定的な事実が残されていた――。人生逆転|第二の人生|ATM扱い|金銭問題1.5万字5 312 -
完結第20話
貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算
「月収四十万円で、私と結婚できると思ってたの?」七年間付き合った恋人・美香に、収入を理由に婚約を破棄された中島涼。失意の帰り道、公園で出会った風変わりな兄弟との交流が、彼の人生を大きく変えていく。物流の経験を生かして建設会社の経営改革に携わり、少しずつ信頼を築いていく涼。二年後、居酒屋で偶然再会した美香は「次期社長と結婚する」と勝ち誇っていた。しかし、彼女も婚約者も、会社で進んでいた重大な決定を知らなかった。金と肩書きで人を見下した二人を待つ、思いがけない逆転劇。人生逆転|裡切られた|真実|第二の人生|金銭問題2.9万字5 352 -
完結第20話
離婚1時間でカード5枚停止、義母の豪邸宴会が一変
九年間の結婚生活を終えた神堂美緒は、離婚成立から一時間も経たないうちに、元夫・達也らに渡していたブラックカード五枚を利用停止にした。 一方、達也と義母の和江は、十億円の豪邸まで自分たちのものになったと信じ、親戚五十人を招いて豪華な宴会を開催する。 しかし、彼らは家の本当の所有者も、カードの契約者も知らなかった。さらに、美緒の署名を使った不審な不動産取引まで発覚する。 高額な料理とワインが次々と運ばれる中、祝宴の会計で明らかになる衝撃の事実とは――。因果応報|人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.8万字5 703 -
完結第10話
銀座の384万円
巨大企業グループの総帥という身分を隠し、平凡な専業主婦として暮らす美央。夫と義母に見下されながらも、温かい家族を夢見て五年間耐え続けてきた。 義母の誕生日、55万円の高級バッグを用意して銀座のレストランへ向かうと、義家族はすでに食事を終えていた。美央の席も料理もなく、代わりに突きつけられたのは384万円もの請求書。 「会計はあなたが払って」 その言葉に、美央は静かに微笑んで店を去る。しかし義家族はまだ知らなかった。自分たちが誰を敵に回したのかを――。因果応報|人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題|修羅場1.6万字5 1930