みかん小説
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"夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転" 第1話

帰宅した夫の変わり果てた目

「おい美桜、茶を淹れろ。今から俺は役員さまだぞ」

玄関のドアが乱暴にいたかとうと、夫の達也は着ていた着をへ放り投げました。 その元には、これまで見たこともないような、勝ち誇った品な笑みが浮かんでいました。

私は胸騒ぎを覚えながらも、世のにを差したくなくて言葉をみ込みました。 黙ってに落ちた着を拾いげます。

そのとき、ふわりとをかすめた匂いがありました。 ツンとした酒の匂いに混ざって漂ってきたのは、私のものではない、濃で甘ったるいの匂いでした。

(……これ、誰の匂い?)

疑問にう私の横を、達也は靴を脱ぎ散らかしたまま通り過ぎていきました。 リビングの革張りソファへドサリとを沈めると、ネクタイを乱暴に引きろします。

私は拾った着をハンガーに掛け、台所でお茶を淹れてテーブルへ運びました。 達也は湯呑みを見ようともせず、私をからまで見すように睨みつけました。

「よく聞けよ。来から俺が、うちの会社の専務取締役に就任することが役員会で決まった」

く響いたその声には、隠しようもない傲さが滲みていました。

「専務……ですか。おめでとうございます、達也さん」

私が両を膝のに揃えて丁寧にお祝いを伝えると、達也はそうに唇を歪めました。

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「相変わらずで気の利かない女だな。もっとびねてべないのか?」

たい舌打ちが、静かなリビングに響きました。

「これからは付きう連の格も変わるんだ。おみたいな世らずの貧乏育ちが隣にいたら、俺の顔にを塗ることになるんだよ」

突然投げつけられた侮辱の言葉に、私は息を呑みました。 あまりにも理尽な物言いに、胸の奥がきゅっと痛みます。

夫の実が営む郷田物産は、数まで刻な経営危に陥っていました。 当の達也は毎晩のようにを抱え、「会社が潰れたらぬしかない」と泣きついてきたのです。

そんな夫を支えたいで、私は実の素性を伏せたまま結婚しました。 今私たちが暮らしているこの麻布の邸宅も、敷百坪、億円にものぼる豪邸です。 これはすべて、私が独代に持っていた個資産で購入した、正真正銘の私のでした。

それだけではありません。 倒産寸だった夫の会社をで救ったのも、私の実である神堂グループ傘のメインバンクからの緊急融資でした。

けれど、会社の経営が持ち直した途端、達也はすべて自分の実力だと錯覚し始めたのです。

「母さんもいうちにここへ呼ぶからな。専務の母親にふさわしい番広い客を空けておけ」

達也はめたお茶を気にみ干すと、湯呑みをガチャンと音をててテーブルへ叩きつけました。

「……分かりました。お部を片付けておきます」

私が静かに答えると、夫はそれ以何も言わず、寝へと消えていきました。 バタンと乱暴に閉まった扉を見つめながら、私は言いれぬ胸のざわつきをじていました。

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