"夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転" 第16話
特捜部の鉄槌
突如として崩れ込んできた国権力の圧倒な威圧に、リビングは完全なパニックへと陥りました。
「ひいいっ!」
義母のは甲い鳴をげ、腰から砕け落ちるように絨毯のへとへたり込みました。 の扇子はを転がり、着飾っていた毛皮のショールが乱雑にはだけていきます。 顔面はのように青ざめ、激しい過呼吸を起こしながら自らの胸元をかきむしっていました。
「な、何なのよ、あんたたち! 法侵入よ! 警察を呼びなさい!」
麗華も怯え切った表でずさりし、型ソファのへとを縮こまらせました。
「いやっ! 何これ!? 逮捕されるの!?」
麗華はお腹を抱えて震えがり、マスカラで汚れた涙を流しながらにうずくまりました。
数名に及ぶ屈な捜査官たちが、糸乱れぬきで部の隅を固め、入りを完全に封鎖していきます。 記録用のビデオカメラが構えられ、現の状況が淡々と映像として記録され始めました。
に押さえつけられた達也は、なおも事態をみ込めず、濁った声を張りげて暴れました。
「せ、貴様ら! 俺を誰だとっているんだ!」
達也はに唾をばし、拳で理を激しく叩きながら鳴り散らしました。
「俺は郷田物産の専務取締役・郷田達也だぞ! 何の権利があって、民企業の役にこんな乱暴な真似をするんだ! 今すぐ所轄の警察を呼べ! この審者どもを全員、法侵入で逮捕させろ!」
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あまりにも見当違いな号に対し、捜査官のが静かな取りでへみました。 胸ポケットから警察帳を取りし、達也の顔のに突きつけたのは、特捜部の警でした。
「々が、その警察だ」
く研ぎ澄まされたその声に、達也の喉がヒュッと鳴って止まりました。
「警庁捜査課、特別捜査部だ。京方裁判所の令状に基づき、適法に制捜査をっている」
「そ……捜査課……!?」
達也の顔から、さらに血の気が引いていきました。
能犯、企業犯罪、規模横領を取り扱う、警庁の枢関。 その名を聞いた瞬、達也の瞳に底れぬ恐怖が宿りました。
なぜ、夫婦の婚と財産分与のに、経済事件の特捜部が現れるのか。 達也には、その理由がまだ何も理解できていませんでした。
私はに転がる元夫を、静寂の央から静かに見ろしていました。 私な領域は完全に国の法のに制圧され、もはや誰として引き返すことはできませんでした。
混乱と戦慄が渦巻くリビングので、捜査官たちが斉に直の姿勢を取りました。 へと然とがかれ、廊の奥からな革靴の音が響いてきました。
カツン、カツン、カツン。
静寂を切り裂いて歩み入ってきたのは、息を呑むほどの威厳をまとった、漆黒のスーツ姿の紳士でした。
鋭く研ぎ澄まされたを湛えたその物は――私の実父である、神堂総郎そのでした。
その隣には、優雅な装いで凛とした微笑みを湛えた母の冴子が、静かに寄り添っていました。 さらにそのろには、神堂グループ傘のメガバンク取と、最顧問弁護士団が然と従っていたのです。
に組み伏せられていた達也が、信じられないものを見るように目を見きました。
「お……おい……なんだ、あのじいさんは……!? なぜ美桜の隠居した実の親が、警察の捜査官たちを従えて入ってくるんだ……!?」
達也の掠れた呟きを無し、私は父と母のへと静かにみました。 そして胸元にを当て、敬を込めて々と礼を捧げたのです。
「お父様、お母様。お待ち申しげておりました」
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