"「中卒女に現場は無理」職人10人が辞めた結果" 第5話
逆向きの扉と千百万円の
ところが、目の朝。 現にってきた港が、顔を張らせて千を呼びに来ました。
「堀さん、変です! 建具から届いた部分の製ドア、く向きが全部逆です!」
千は現へ駆けつけました。 届いていたのは、岩が退職する直に発注していた特注の引き戸ドアでした。
介護施設では、子や介護ベッドがスムーズに入りできるよう、部の構造によってきかきかが厳密に設計されています。 それが、部分すべて逆に作られていたのです。
港が半泣きでスマートフォンを握りしめていました。 「メーカーに問いわせたら、特注品だから作り直すのに最でも週かかるって……! そんなの、引き渡し期限に絶対ににいません!」
岩が嫌がらせでわざと誤発注したのか、あるいはいつもの杜撰な確認ミスか。 現に絶望な空気が漂い始めました。
千は胸ポケットから帳の束を取りし、の冊をめくりました。 ページをめくる指が、ある図面スケッチのでピタリと止まりました。
別の福祉施設で、同じメーカーの建具を使ったときの詳細な施記録でした。
そこには、吊り具のを反転させ、枠側の戸当たり部材を部組み替えることで、ドア自体を作り直さずに吊り元を逆転させる裏技が、鉛で細かく図解されていました。
広告
部材を特注できる町の連絡先までき留めてあります。
「丈夫。ドアを作り直す必はないわ」 千は顔をげ、港に力く告げました。
「反対きの具と調部材だけ、このにバイク便で届けてもらう。枠の加図面は私が今すぐ描くわ」
千はそので図面を引き、施設に構造の変更と度の全性を説して即座に承認を取り付けました。 、届いた具を取り付けると、のドアは何の狂いもなく、図面通りの向きへ滑らかに閉しました。
察に訪れた施設の理事が、毎晩千から送られてくる施箇所の写真報をに、嘆の息を漏らしました。
「以の岩さんという方は、顔をわせるたびに『期が遅れる、追加のがいる』と鳴るばかりでした。ですが堀さん、あなたの報のおかげで、ここ数週、私は本当にして眠れましたよ」
理事は港が仕げた部のを指差しました。 「この部の継ぎ目、まったく段差がありませんね。どなたが施されたのですか?」
千はろにつ港の背をポンと押しました。 「うちの港です。この部のは、から仕げまで彼がでやり切りました」
港は照れくさそうにを掻き、々とをげました。 その瞳には、うっすらと誇らしげな涙がっていました。
広告
。 当初の引き渡し期限の、全の改修事は、直しゼロの完璧な状態で施主へ引き渡されました。 理事はそので、翌に予定されている別棟の改修事も、坂務へ特命で発注することを約束してくれたのです。
その夜、すべての引き継ぎを終えた千は、誰もいない事務所でパソコンの源を入れました。 に渡されていた、資材発注システムの管理画面をきます。
岩班が過に発注した、すべての伝票データと納品先所を、画面に呼びしました。
千の元には、これまで自分がき溜めてきた冊の帳がありました。 現の資材置きで、確かに「消えていた」材料の記録。
画面をスクロールしていた千のが、ある件の伝票のでピタリと止まりました。
(……この所、うちの会社の事現じゃない)
坂務の名義で発注された量の資材が、会社の台帳にはしない、見らぬ個宅の所へ届けられていたのです。 件や件ではありませんでした。
過分を照していくと、その数は件を超えました。 横流しされた資材の総額は、およそ千百万円。 そして、そのすべての発注者欄に記されていたのは――「岩」の名でした。
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由
32歳の玲奈は、3年ぶりに実家へ帰り、弟の妻・南が別人のように痩せていることに驚く。夕食の席でも南の前には料理がなく、家族は誰も気に留めない。その深夜、台所で物音を聞いた玲奈は、ゴミ箱を漁る南の姿を目撃する。「食べられるものを探していました」――その言葉をきっかけに、母と弟が南に強いていた異常な暮らしが明らかになっていく。さらに、南が隠し持っていた手帳には、翌朝に迫る恐ろしい約束が記されていた。玲奈は弟嫁を守るため、信じていた家族と向き合う決意をする。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|修羅場2.4万字5 14 -
完結第16話
二人きりのはずだった旅行
結婚以来、義母のわがままと、それを当然のように受け入れる夫・俊也に振り回されてきた由香。二人きりの結婚記念日旅行まで義母に台無しにされた翌年、夫は「今度こそ二人だけで行こう」と約束する。ところが出発当日、玄関には大きな旅行鞄を抱えた義母の姿が。「家族なんだからいいだろ」と開き直る夫に、由香は思い切った行動に出る。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題3.0万字5 485 -
完結第18話
夜勤明けに鍵を替えられた私
看護師長として働く千歳は、後輩に昇進で追い抜かれ、仕事を休みがちになった夫・徹を支えようとしていた。ところが徹は次第に横柄になり、家事を押しつけ、「妻なら夫に従え」と言い始める。そんなある朝、夜勤を終えて帰宅した千歳は、玄関の鍵が替えられていることに気づく。「ダメ嫁への躾だ。謝れば入れてやる」と笑う夫に、千歳は「あっそ。さようなら」とだけ告げて立ち去った。妻が本気で戻らないと知った徹は、どんな行動に出るのか。自分の人生を取り戻そうとする女性の再出発を描く物語。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6万字5 43 -
完結第10話
こぼされた定食の代償
社員食堂で働く43歳の松尾順子は、料理を通して社員たちを支えることに誇りを持っていた。ところが、営業部の神崎と宮下は、食堂のスタッフを見下し、暴言を繰り返していた。ついには大勢の前で定食を床にぶちまけ、順子たちを笑いものにする始末。さらに職場では不審な情報漏洩も発覚する。そんなある日、専務が食堂を訪れると、二人の態度は一変。順子を知らない二人は、そこで思いもよらない事実を知ることになる。職場逆転|人生逆転|修羅場1.5万字5 435 -
完結第20話
「子なし」と笑われた私に、姪が吹雪の夜に土下座した
43歳の望は、子どもがいないことを理由に、義兄夫婦から嫌味を言われ続けていた。そんな望を慕ってくれるのは、8歳の姪・メイ。しかし正月の夜、猛吹雪の中、幼い妹を背負ったメイが望の家を訪ねてくる。「三千円だけ貸してください。大きくなったら返します」そう言って床に頭を下げる少女。事情を聞いた望と夫の剛は、義兄夫婦が隠してきた恐ろしい実態を知る。因果応報|人生逆転|嫁姑|第二の人生|絶縁1.9万字5 499