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"終電の次の駅は私の名前――ホームには亡き祖母がいた" 第12話

次の駅

あの夜から、私は終に乗ることを避けている。仕事が遅くなるは、できるだけ誰かと緒に帰る。で眠っているを見かけると、具が悪そうではないか、何度も様子をうかがってしまう。

度、向かいに座っていた若い男性が、何度も苦しそうに眉を寄せていたことがある。私は迷った。声をかけて、変なだとわれたらどうしよう。関わらない方がいいのではないか。そんな考えがをよぎった。

けれど、あの夜の浦さんをいした。彼は私を起こそうとしていた。私はちがり、男性の肩を軽く叩いた。

「丈夫ですか? 気分、悪くないですか」

男性は目を覚まし、し驚いたあと、「丈夫です。すみません、寝ぼけてました」と答えた。私はそれ以何も聞かず、自分の席に戻った。はいつもの駅に止まり、男性も無事にりていった。

それだけのことだった。誰かの命を救ったわけではないし、怪異の謎が解けたわけでもない。それでも、私はその、浦さんがしてくれたかったことを、ほんのしだけ返せた気がした。

ある夜、仕事帰りに乗ったで、内放送が瞬だけ途切れた。乗客たちは誰も気にしていない。窓のには、いつもののかりが流れていた。

「次は、浦浩司。おは側です」

私は顔をげた。周りのたちは、何事もなかったようにスマートフォンを見ている。

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放送はすぐに駅名を告げ直した。

「次は、浦駅。浦駅です」

聞き違いだったのかもしれない。内には浦さんはいない。駅名も、浦駅ではなかった。私はすりを握りしめ、次の駅でりた。

改札をて、駅の板を確かめる。そこには、いつもの駅名がかれていた。私はしばらくそのにち尽くしたあと、へ向かって歩きした。

帰宅してから、私は祖母の写真を見た。写真の祖母は、あの夜と同じように、何も責めずに笑っている。私はさく「ただいま」と言い、台所で温かいご飯をよそった。

翌朝、会社へ向かうで、内広告に目が止まった。見慣れた求広告の隣に、見覚えのないが枚貼られている。

「今の繰りがりのおらせ」

私は息を止めた。には、名がひとつだけかれていた。

浦浩司。

そのには、空の駅名がひとつ残っていた。誰の名がそこに入るのか、私には分からない。がホームに入り、扉がく。私は広告から目をそらし、今度は自分ので、いつもの駅へりた。

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