"結婚23年目、35万円を渡した妻が持ち帰ったもの" 第9話
あいのへ
帰省の、私たちは朝くをた。は、母親への産に茶葉と菓子を用し、私はのトランクに荷物を積んだ。息子も休みを取って流し、でへ向かった。
がに入ると、は窓のをじっと見つめた。見覚えのある所がづくたび、彼女は「あそこに昔、商があったの」「あのを通って学にったの」と教えてくれた。
の入に着いた頃、の表はし固くなっていた。帰りたいと願いながら、帰ることをためらっていた所。そこに今、ぶりに族と緒に戻る。
母親ののには、すでに母親がっていた。私たちのに気づくと、母親はゆっくりを振った。はをりるなり、母親のもとへ歩いていった。
「お母さん」
「お帰り、」
母親は娘の両を握った。はしばらく何も言わなかった。母親の目に涙が浮かび、の頬にも涙が伝った。私はしれたところで、その様子を見守っていた。
やがて母親は息子にも声をかけた。
「きくなったねえ。こんなに派になって」
「おばあちゃん、お久しぶりです」
母親は私にもをげた。
「いところをありがとうね」
「こちらこそ、今までご無汰してしまってすみません」
母親は「そんなことないよ」と言った。けれど、私はそれで話を終わらせず、きちんと伝えた。
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「が帰りたいとっていたことに、気づけませんでした。これからは、もっと緒に来ます」
母親は私を見つめ、し驚いたような顔をした。それから、ゆっくり頷いた。
のは、が昔話してくれた通りだった。玄関のがり框はしく、には古い靴が並んでいる。居には、父親の写真が飾られていた。は仏壇のに座り、をわせた。
「お父さん、久しぶり。今はみんなで来たよ」
母親は、そのろで静かに見ていた。しばらくしてから、父親の写真に向かって「よかったね」と声をかけた。
昼には、母親が作った煮物や漬物が並んだ。はつべるたび、「懐かしい」と言った。母親は「昔と同じように作っただけだよ」と笑った。
事の、は母親と緒にの周りを歩いた。私は息子としれてついていった。は、かつて遊んだ川の所を教えてくれた。はしくなっていたが、川の流れは昔のままだった。
母親は川岸のを見つめながら、「あんた、ここで転んで膝を擦りむいたことがあったね」と話した。は「覚えているわ」と笑った。
そのは、が暮れるまで昔の話をした。母親の顔には、帰省のたびに見せる寂しさだけでなく、娘と孫がそばにいるが浮かんでいた。
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