"「このおばあちゃん、危ない」六歳の孫が見たもの" 第7話
曜のスーパー
の曜。坂ののスーパーは、昼から族連れで賑わっていた。
蛇田さんは、入で私たちを待っていた。
「静子さん、ちゃん、こっちよ」
「お待たせしました」
「いいのよ。お菓子売りはこっち。今はどれがいいか、ちゃんに選んでもらおうとって」
棚には、ようかん、袋の飴、ミニどら焼き、個包装のおかきが並んでいる。蛇田さんは、つずつに取っては、かごに入れていった。
「蛇田さん、そんなにたくさん買わなくても丈夫ですよ」
「みなさんの分もあるからね」
は私のをさず、棚からしれていた。
「ちゃん、どれがいい?」
蛇田さんが優しく尋ねる。
「いらない」
「慮しなくていいのよ」
蛇田さんはそう言いながら、さらにお菓子をかごに入れた。
「それより蛇田さん、しお話ししませんか。買い物が終わったら、お茶でも」
「お話はあとでゆっくりね。ほら、レジが空いているからきましょう」
蛇田さんは、かごを持ってレジへ向かった。私も牛乳と卵を会計するため、ろについた。
蛇田さんがレジで支払ったのは、袋の飴ひとつだけだった。
員が「こちらでよろしいですか」と確認すると、蛇田さんは銭をした。会計を終えた、買い物袋を持って袋詰めの台へ移した。
「曜のお昼は、やっぱり混みますね」
広告
蛇田さんはそう言って、私の方を見た。
「静子さん、これ、ちゃんの分。お会計は私がまとめてするから」
「蛇田さん、私の分は買っていませんよ」
「ほら、ちゃんが好きそうだから」
蛇田さんが私の買い物袋にを伸ばした。私は袋のをけようとしていたが、牛乳を入れるために度をしていた。
その、が黙って私のを引いた。
「、どうしたの?」
「ばあば、こっち」
「そんなに引っ張ったら転んでしまうわ」
は私の腕にしがみついていた。
「お顔が真っよ。どこへくの?」
「トイレきたい」
あの、私は孫の言葉に従った。袋詰めを断して、そのをれた。
トイレの入まで来ると、はち止まった。
「ない」
「やっぱり、トイレにきたかったわけじゃないのね」
はうなずいた。
「ばあばの袋に、何か入れようとしてた」
「本当に見たの?」
「うん。あのおばあちゃんのが、ばあばの袋に入るところだった」
私は、を抱きしめた。あの子は、ただ怖がっていたのではない。私を危険からそうとしていたのだ。
「、教えてくれてありがとう」
「ばあば、もう戻らないで」
「ここで待っているわけにはいかないの。ばあばが何を見て、どうすればいいか確かめてくるね。は私のそばにいて」
は、私のをつかんだままうなずいた。
私たちが袋詰めの台に戻ると、のくにだかりができていた。
「お客様、恐れ入りますが、お提げのを拝見してもよろしいでしょうか」
員が、蛇田さんに声をかけている。
蛇田さんのには、私の買い物袋があった。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
15年無給で働いた若女将を追い出した老舗旅館の末路
老舗温泉旅館「鶴の湯」に嫁いで15年。若女将の美里は一度も給料を受け取らず、料理から接客まで休む間もなく働いてきた。ところがある日、義母と夫はSNSで人気を集める若い女性を新しい若女将に迎え、美里を「時代遅れ」と追い出してしまう。長年守ってきた味も、常連客との約束も、彼らには何の価値もなかった。しかし、美里が去った翌朝から、旅館では思わぬ問題が次々と起こり始める。15年間、あの宿を本当に支えていたのは誰だったのか。職場逆転|人生逆転|嫁姑|第二の人生2.2万字5 19 -
完結第15話
正月、娘を家政婦扱いした義実家――私が下した決断
43歳のゆり子は、13歳の娘・美咲を連れて再婚した。しかし、結婚前は優しかった夫の賢二は、家事を押しつけ、娘の食事まで平気で奪うようになる。 迎えた初めての正月。夫の実家へ帰省した母娘を待っていたのは、休む間もない家事と姑からの冷たい仕打ちだった。さらに元旦、親戚の子どもたちがお年玉をもらう中、美咲だけが「他人だから」と仲間外れにされてしまう。人生逆転|嫁姑|夫婦|第二の人生|絶縁|親子関係1.9万字5 262 -
完結第15話
義母の老人ホーム代120万円を勝手に約束した夫
医療機器メーカーで働く結衣は、結婚以来、夫の翔太と義母の幸子に頼まれるまま、家電の買い替えや旅行代を負担してきた。月7万円の仕送りも、半分出すと約束した夫は一円も払わない。それでも家庭を壊したくない一心で我慢していたが、義母はついに結衣の勤務先へ送金を催促する電話をかけてくる。さらに夫は、義母が希望する高級老人ホームの入居金120万円まで、結衣に無断で支払う約束をしていた。夫のスマホに届いた一通のLINEをきっかけに、結衣は自分の人生を取り戻す決意をする。人生逆転|嫁姑|夫婦|絶縁|介護|金銭問題2.7万字5 1169 -
完結第15話
誕生日に姪を選んだ夫、3年後の再会で絶句
読書好きで控えめな陽菜子は、誠実だと信じていた夫・高尾と穏やかに暮らしていた。ところが三十歳の誕生日、夫は姪の百花を連れて現れ、妊娠を告げたうえで離婚届を突きつける。「子供ができないお前が悪い」と責められ、家まで追い出された陽菜子は、誰も自分を知らない町で新しい生活を始める。やがて高校時代の同級生との再会をきっかけに、少しずつ前を向けるようになっていく。そして数年後、偶然出会った元夫と姪の前で、思いがけない出来事が起こる。因果応報|人生逆転|夫婦|親子関係|修羅場|不倫2.1万字5 1115 -
完結第15話
「柿の木だけは切るな」――庭から出た四人の遺骨
2024年、東京・品川の古い屋敷で、樹齢70年の柿の木が引き抜かれた。その根元から見つかったのは、大人一人と子ども三人の遺骨。20年前、この屋敷では住み込みの家政婦と三人の娘が姿を消し、家主である元校長は「金を盗んで夜逃げした」と説明していた。なぜ彼は、柿の木だけは絶対に切るなと家族に言い残していたのか。捜査を進める刑事・渡辺は、町の人々から尊敬されてきた元校長の過去と、20年間隠されてきた母娘の失踪の真相を追い始める。ミステリー|真実|真相1.7万字5 17 -
完結第12話
昭和35年、上野駅に現れた二人の「ハルコ」
昭和35年春。集団就職列車を迎えに上野駅へ来た食堂の主人は、「山本春子」と呼ばれた少女が二人同時に手を挙げたことに戸惑う。一人は店で働くために上京した春子。もう一人の晴子は、三年前に東京へ出た姉を捜していた。姉は故郷へ帰ったことになっているのに、家族は誰も会っていない。不審に思った主人が古い雇用通知書を調べると、晴子の帰郷を証明する書類に、自分の署名が残されていた。誰が少女たちの名前を使い、何を隠していたのか。集団就職の時代を背景に、書類一枚に翻弄された若者たちの人生を描く物語。時代|歴史|昭和|真相2.3万字5 0 -
完結第15話
二十通の辞表
祖父の跡を継ぎ、老舗料亭「綾瀬楼」の若女将となった28歳の蒼井。しかし総料理長の黒岩は、彼女を「高卒の小娘」と見下し、仕入れや経営への口出しを一切認めなかった。さらに創業100周年の記念宴会を翌日に控え、板前20人を引き連れて退職届を突きつけてくる。150人の客を迎える大切な宴席を前に、料理人が一斉に去るという絶体絶命の危機。ところが、土下座を迫られた蒼井は慌てるどころか、静かに微笑んだ。祖父が彼女を後継者に選んだ、本当の理由とは。職場逆転|因果応報|人生逆転|金銭問題2.2万字5 938 -
完結第15話
高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体
町の内科クリニックに長年通う68歳の静子は、知人の山田さんが何度も診察の順番を飛ばされていることに気づく。受付の沼田は、特定の患者ばかりを優先し、理由を尋ねる山田さんには冷たい態度を取っていた。やがて山田さんは、受診することさえ怖くなってしまう。心配した静子が付き添った日、山田さんの顔色が急に悪くなるが、受付は取り合おうとしない。そんなとき、待合室で絵を掛け替えていた一人の女性が口を開く。その何気ない一言から、長年見過ごされてきた受付の問題が明らかになり始める。人生逆転|介護|金銭問題1.4万字5 131 -
完結第15話
認知症の父を「逮捕しろ」と叫ぶ姑――孫の一言で形勢逆転
夫を突然亡くした佳苗は、幼い二人の子どもを育てながら、認知症になった父の介護も引き受けることになった。心身ともに限界を迎えるなか、支えになってくれたのは小学六年生の息子・亮太だった。家族で父の実家へ引っ越し、ようやく穏やかな暮らしを取り戻したかに思えたが、何かにつけて佳苗を責める姑が、またもや騒ぎを起こす。ある日、仕事中の佳苗に亮太から緊急の電話が入った。急いで帰宅すると、家の前にはパトカーが。家の中でいったい何が起きたのか。姑の言い分に対し、亮太が語り始めたのは……。祖父母と孫|嫁姑|絶縁|親子関係|介護|認知症1.6万字5 322