"港の消失船長" 第5話
でも、殺してはいません。し話をしただけです」
彼はそう言った。
だが、捜査はさらにんだ。遺骨が見つかった点の周辺をスキャンしたところ、約3mれた所で属反応があった。慎に掘り返すと、錆びた鉄パイプがてきた。さは約70cm。片方の端が曲がっていた。
鑑定の結果、その鉄パイプから俊助の血液反応がた。さらに、部分に残っていた指紋が佐藤健のものと致した。
もはや否認はできなかった。
健は取調でくうなだれていた。捜査員たちは急かさず、静かに待った。
やがて、彼はさな声で言った。
「自分1でやったことではありません」
取調の空気が変わった。
「姉がやらせたんです」
健は、19949に姉のゆき子から計画を持ちかけられたと話した。
「兄さんを消して、保険を分けしよう」
最初は断ったという。だが、ゆき子は何度も説得した。5億円というがに入る。健も事業を始める資が欲しかった。やがて、彼は断り切れなくなった。
計画は1ヶかけててられた。
をけ方の港へ呼びす。実は300万円のの話。健が港のコンテナ置きで働いているため、所の構造も熟していた。遺体を隠す区域も選べた。
犯夜、健はゆき子の指示でに話をかけた。
「おのことで話がある」
は疑わなかった。
広告
義弟と会うだけだとっていた。
915のけ方、はコンテナ置きへやって来た。健は彼と並んで歩き、気のないコンテナのへ誘導した。
そして背から、あらかじめ隠しておいた鉄パイプでの部を殴った。
はそので倒れた。
健は脈を確認した。息はなかった。
夜に掘っておいた穴へ遺体を入れ、をかぶせた。そのにコンテナを置いた。自分が管理する所だからこそできた隠蔽だった。
「終わってすぐ、姉に話しました」
健は声を震わせた。
「姉は、よくやったと言いました」
ゆき子は逮捕された。
だが、最初の取り調べで彼女は全面に否認した。
「弟が嘘をついています。私は何もしていません」
ゆき子は弟が1で犯に及んだのだと主張した。理由はだと言った。からを借りていて、返したくなくなった健が殺したのだと。
しかし、その主張を裏づける証拠はなかった。借用もなければ、確な送記録もない。
捜査本部は、さらに過の記録を洗い直した。
失踪3ヶの通話記録を精密に分析すると、ゆき子と健の通話頻度が自然に増えていた。普段は週に1、2回程度だった通話が、失踪の1ヶからほぼ毎になっていた。失踪1週には、1に3回も通話していた。
朝にも、夜遅くにも通話があった。
広告
何かを計画していたと考えるには分だった。
さらに融記録から、失踪の1週に健が500万円を現で引きしていたことが分かった。用途を尋ねられても、彼は具体に答えられなかった。
ゆき子のにも自然な点があった。
失踪の2ヶ、彼女は保険会社の交員を訪ね、夫の命保険について詳しく確認していた。特に、失踪した、何経てば保険を受け取れるのかを尋ねていた。
交員は「7です」と答えた。
ゆき子は、それを聞いて頷いていたという。
状況証拠は積みなった。
しかし、決定だったのは、健の古い携帯話から復元された削除済みのショートメッセージだった。
失踪の3、ゆき子から送られた文面が残っていた。
「曜のけ方にやろう。準備はできた」
健の返信も残っていた。
「姉さん、本当にやるのか。怖いよ」
ゆき子は返信していた。
「配しないで。完璧に計画したから。終われば私たちはいい暮らしができるわ」
そのメッセージを見せられた瞬、ゆき子の顔から血の気が引いた。
彼女はしばらく黙っていた。唇がかすかに震えていた。
やがて、肩を落とし、子ので崩れるようにうなだれた。
「私が計画しました」
ついに、ゆき子は認めた。
はだった。
夫の料だけでは満できなかった。5億円の保険がかられなくなった。
子供たちを良い学にかせたい。自分も楽な暮らしをしたい。そう考えるうちに、計画は具体になった。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
「寄付は千円ぽっち」笑われた老夫婦の30年の秘密
町内会の夏祭りで、寄付が千円しかないと笑われた68歳の静子。古い自転車に乗り、夫の勉と慎ましく暮らす彼女は、婦人会長から「ケチな人」と見下され、記念式典の受付役まで外されてしまう。それでも静子は言い返さない。夫婦には、30年間、毎月15日に欠かさず続けてきた秘密の約束があった。やがて婦人会の記念式典に、育英基金の支援で大学を卒業した青年が現れる。青年が大切に持っていた一通の手紙をきっかけに、会場の空気が思いがけない方向へ変わり始める。人生逆転|夫婦|真実|金銭問題1.9万字5 542 -
完結第10話
腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女
三歳の娘を育てる裕子は、重い腎臓病になった夫・英司を救うため、自分の腎臓を一つ提供した。ところが手術後、体調を崩した裕子を待っていたのは、夫からの暴言と冷たい仕打ちだった。やがて英司は、若い女との新生活を理由に離婚届を突きつけ、娘まで奪おうとする。そんな裕子の味方になったのは、意外にも義母だった。命を救ってくれた妻を平然と捨てようとする夫。すべてを失いかけた裕子は、娘と自分の人生を守るため、反撃を決意する。夫婦|真実|裏の顔|真相|第二の人生1.4万字5 889 -
完結第16話
午前3時、警察から「夫を迎えに」――私は独身なのに
神堂グループを率いる美桜のもとに、午前3時、警察から奇妙な電話が入る。「ご主人を迎えに来てください」。しかし、美桜は一度も結婚したことがなかった。保護された男性が持っていたのは、5年前の爆発事故で亡くなったはずの婚約者・一条蓮との婚姻届の控え。半信半疑で警察署へ駆けつけた美桜は、信じられない光景を目にする。空白の5年間に何があったのか。そして、なぜ今になって彼が現れたのか。かつての事故をめぐる疑惑と、身近な人物の隠された思惑が、少しずつ明らかになっていく。夫婦|裏の顔|真相2.7万字5 616 -
完結第12話
毎朝「出ていけ」と怒鳴る隣人、測量の日に顔色が変わった
「引っ越しなさい!」毎朝七時、向かいの家の奥さんに怒鳴られる六十八歳のしず子。生まれ育った家を手放す気はないが、理由のない嫌がらせは日に日にひどくなり、相手の夫まで引っ越しを勧めてくる。しず子は言い返す代わりに、毎日の出来事をノートに書き留めていた。そんなある日、隣人の土地売却をきっかけに境界の測量が行われる。測量士が示した一本の線と、亡き祖父が残した古い封筒。そこには、長年の隣人関係を覆す意外な約束が隠されていた。怒り|真実|修羅場1.3万字5 274 -
完結第12話
フクと小さなおにぎり
ペットショップの隅で「特価品」の札をつけられていた猫、フク。以前の飼い主に一度迎えられながら、すぐに店へ戻された過去があった。幼い娘ゆいに心を動かされ、フクを家族に迎えた俺と妻の由佳。少しずつ新しい家に慣れていくフクだったが、なぜか人前では決してご飯を食べようとしない。その理由を知った俺たちは、無理をさせずに見守り続ける。迎えてから約一年が過ぎたある夜、二歳になったゆいが小さな椅子を運んできた。娘の何気ない行動が、フクの心を少しずつ変えていく、家族の温かな物語。感動|真実1.1万字5 651 -
完結第10話
消えた卵の秘密
茜の家では、父の再婚相手・美津江が届けてくれる卵が、なぜか毎回なくなっていた。夜中につまみ食いをする夫の陽斗を疑っていた茜だったが、ある日、卵をこっそり持ち出す小学一年生の娘・凛を目撃する。「急に卵が嫌いになった」と泣く娘。しかし、いつもは素直な凛の様子はどこかおかしかった。そんな中、美津江から再び大量の卵が届く。茜は娘のために手作りプリンを用意するが、それを食べた美津江は、材料を聞いた途端に顔色を変えてしまう。娘が必死に隠していた秘密とは、いったい何だったのか。祖父母と孫|真実|真相|第二の人生1.4万字5 710 -
完結第12話
五歳の母ちゃん
両親を事故で亡くしたシンジは、五歳の妹・楓を育てながら、昼も夜も働いていた。そんなある日、楓が「母ちゃんが来た」と言って連れてきたのは、同じ保育園に通う五歳の少女・リサだった。ところが彼女は、家族しか知らない昔の出来事を次々に話し、シンジを息子のように気遣う。信じられない再会に戸惑いながらも、兄妹は少しずつ彼女に心を開いていく。しかし、リサ自身の記憶が薄れていくという異変が起こり始める。もう一度母に会いたかった兄妹が、大切なものを守るために選ぶ道とは。兄弟姉妹|真実|真相|第二の人生1.2万字5 243 -
完結第12話
結婚式に来ないと怒鳴る義母→義父「もう会場にいるぞ?」
母の美容院を継いだ誠は、医師の新と結婚して三年。夫婦仲は良好だったが、医者一家の義母からは学歴や職業を理由に見下され、嫌がらせを受け続けていた。そんな中、義弟の陸が看護師のかな子と結婚することに。義母は二人の豪華な披露宴を自慢し、誠への嫌味をますます強めていく。そして迎えた結婚式当日。朝早くから会場にいた誠のもとへ、義母から突然の怒鳴り電話がかかってきた。しかし、義父が電話を代わった瞬間、思いがけない事実が浮かび上がる。嫁姑|夫婦|真実|裏の顔1.6万字5 992