"秩父の森に残された映像" 第3話
何も見えない。
だが、ののどこかに、息を潜める気配があった。
次の瞬、優斗のビデオカメラが、じじ、とノイズをてた。画面が瞬黒く点滅し、戻ったもピントが細かく揺れ続けた。
「波干渉みたいだ。くで何か使っているのかもしれない」
事現の裏には、半壊した倉庫のような建物があった。ドアは京錠で閉ざされ、窓は板で塞がれていた。
健はしばらく迷ったが、首を横に振った。
「無理にけるな。度戻って、記録を理しよう」
帰り、誰もをかなかった。
何度もろを振り返りながら、5はキャンプへ戻った。
そしてテントが見えた瞬、斗が叫んだ。
「おい、誰かがいじったぞ」
寝袋は乱れ、料バッグのジッパーはけられ、が散らばっていた。跡ははっきり残っていなかったが、ので荒らされたことはらかだった。
夜になると、5は焚きの周りに座った。
炎の向こうで、全員の顔がくなっていた。
彩佳がさく言った。
「私たちを見ていた、あの事現と関係あるんだよね」
優斗は膝のでカメラを握りしめた。
「警告のつもりなら、どうして何も言わないんだ。なんでテントを荒らすんだ」
健は記録誌をき、今の来事をき込んだ。
違法事現を発見。現に最の痕跡あり。誰かにつけられている覚。
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キャンプに侵入の痕跡あり。
最に、彼はし迷ってから、もう1をき加えた。
、さらに奥へむ。
その文字を見て、彩佳はそうに健を見た。
けれど誰も、やめようとは言いさなかった。
54夜1042分。
森はこれまでにないほど静かだった。静かすぎて、かえって恐ろしい夜だった。
焚きはさくなり、5はテントのへ入った。しかし、眠れる雰囲気ではなかった。昼に見つけた事現、荒らされた荷物、見えない誰かの気配。それらが全員のに沈み、互いを見る目にも警戒が混じり始めていた。
優斗がぽつりと言った。
「昨キャンプを荒らしたのって、まさか俺たちのに誰か……」
空気が凍った。
彩佳はすぐに首を横に振った。
「そんなこと言わないで。今、それを言ったら本当に壊れる」
斗もさく頷いた。
「疑うのはやめよう。ここで仲割れしたら終わりだ」
それでも会話は続かなかった。
夜1130分。非常用ランタンだけが、テントのをぼんやり照らしていた。
彩佳が突然、体を起こした。
「でがいた」
健が顔をげる。
「何だって?」
「のを通っていった。誰かが懐灯を持って歩いてるみたいに」
健は懐灯をに取り、テントのへた。と斗が続き、優斗はカメラを構えた。
森は依然として沈黙していた。
だが面には、かすかに踏みつけられた跡があった。
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「本当に誰かいたんだ」
その、無線から、じじ、というノイズが流れた。
彩佳が受信を覗き込む。
「今、誰もボタンを押してないよね」
ノイズは数秒続き、突然切れた。
そして森の奥から、すすり泣くような奇妙な声が聞こえた。
翌朝、健は夜の映像を確認していた。1137分、カメラが瞬揺れる面で、のから何かがるのが見えた。
いシルエット。
か、物かは分からない。
ただ、その目のさは、とほとんど同じだった。
そのの夜、5は撤収を決めた。
「の午にしよう。映像は分だ。これ以いるのは危険だ」
健の言葉に、誰も反対しなかった。
だが、森は彼らを帰すつもりがないかのようだった。
夜1158分。
ひとつない空気ので、むらが突然ざわめいた。
彩佳がビデオカメラを構え、斗がランタンを向けた。
「そこに誰かいますか」
返事はなかった。
次の瞬、どん、という鈍い音がした。
カメラが面に落ち、画面が激しく揺れた。い鳴、る音、荒い呼吸。レンズは枝とと暗を映し続けた。
「散るな!緒にけ!」
健が叫んだ。
しかし遅かった。
優斗が誰かに引きずられるように森の奥へ消えていく姿が、瞬だけ見えた。彩佳が叫びながらを追った。
「優斗!」
はへ向かってった。
だがフェンスに止めていたSUVは、異様な姿になっていた。
タイヤの1本はパンクし、運転席のガラスにはひびが入っていた。
「壊されてる」
がエンジンをかけようとしたが、は何の反応も示さなかった。
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