"秩父の森に残された映像" 第6話
「もしこの映像を見ることになったら、その、私たちがどうなったかは分かりません」
彩佳は震えながら、それでも必に言葉を残していた。
「最初はただのキャンプでした。でも私たちは、見てはいけないものを見てしまったみたいです。GPSは止まり、携帯は圏になりました。そして優斗がいなくなったんです」
彼女は膝のに置いたさな片をカメラに見せた。
そこには優斗の字で、こうかれていた。
「もし戻れなかったら、俺たちの記録だけは必ず残してくれ」
最に、彩佳は涙をこらえながら呟いた。
「お母さん、お父さん、すごく会いたい。怖い。でも、誰かがらなきゃいけない。私たちがどうして消えたのかを」
映像は3分42秒で終わっていた。
それは、消えた学たちが最に残した、声なき遺言だった。
202111、警察は田達を任で取り調べた。
取調の机の向こうで、田はい着を羽織り、静かに座っていた。刑事は黙って映像を再した。
暗の、黄いヘルメットをかぶった男がづく。誰かが引きずられる。い声が入る。
映像が止まっても、田はしばらく画面を見つめていた。
「私はやっていません。ヘルメットをかぶったなんて、事現ならいくらでもいます」
刑事は次に、彩佳のSDカード映像を再した。
震える声で真実を残そうとする彼女の姿が、暗い取調に映しされた。
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「200355、あなたはどこにいましたか」
田は目をそらした。
「記録を見れば分かるはずです」
しかし、そのの入り記録に田の名はなかった。さらに、20042、失踪事件の捜索が打ち切られた直、田の座に実体のない法から500万円が振り込まれていたことも判した。
その法は、当の秩父発プロジェクトに関わるペーパーカンパニーの1つだった。
警察は現責任者だった伊藤正司にも疑いを向けた。映像の部には、田ではない別の男の声で「そのまま埋めろ。誰にも見つからないように」という言葉が入っており、音声分析では伊藤の声と酷似していた。
だが伊藤は弁護士を通じて関与を否定し、正式な召喚には応じなかった。
田は次第に孤していった。
再度の取り調べで、彼はい沈黙の末、い声で言った。
「私1がやったことではありません」
その言で、事件は単独犯ではなく、組織な隠蔽を含む能性がまった。
それでも、すべての真実がらかになったわけではなかった。
2022714、秩父のの入りくに、さな黒御のモニュメントが建てられた。
そこには5の名が刻まれていた。
健。
佐藤。
田優斗。
鈴彩佳。
斗。
斗だけは還したが、そのもく事件の記憶に苦しみ続けた。彼は式典ので、仲たちの名を見つめながら、何度も唇を噛んでいた。
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田達は裁判で懲役15の判決を受けた。裁判所は、証拠を隠蔽し、遺族の苦痛を放置した点をく見た。
しかし、方となった4の遺体は最まで見つからなかった。
遺族たちは、遺体のない葬儀をうしかなかった。
彩佳の母、佳は、娘の腕計を両で包みながら記者に語った。
「娘は帰ってきませんでした。でも、あの子がしたこと、あの子が最まで何かを伝えようとしたことを、やっと世が認めてくれました」
式典の、森にはがち込めた。
はなく、々の葉だけがかすかに揺れていた。
誰かが、その静けさので声を聞いたと言った。
「私たちはここにいた。最まで残っていた」
それが本当に声だったのか、森の音だったのかは分からない。
けれど、その以来、秩父のその所は、ただのではなくなった。
記憶の所になった。
毎714、丘のにはさな灯籠と輪の菊が置かれる。誰に頼まれたわけでもない。誰かが指示したわけでもない。ただ、5を忘れないという静かな約束のように。
ビデオカメラに残された映像は、単なる失踪事件のがかりではありませんでした。
それは、沈黙の奥に埋もれた真実を、を越えて引き戻すための記録でした。
真実はに、声を失ったままのに沈みます。
けれど、誰かが記録し、誰かが疑い、誰かが最まで忘れなければ、その真実はいつか必ずのへ戻ってきます。
秩父の森は、今も静かです。
けれどその静けさの奥には、5の学が残した最の問いが、今も消えずに響いています。
私たちが見たものを、あなたは覚えていますか。
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