"東京駅に消えた母" 第8話
は震える声で答えました。
「です。にあったで……」
「何度ですか」
「3度ほどだったといます」
宅はりを抑えながら、最の問いを投げかけました。
「なぜ、そこまでしたんですか。本当の理由は何だったんですか」
は泣きしました。
「が入り用だったんです」
「通帳のですか」
「それだけではりなかったんです。母がくなれば、保険がりる仕組みになっていました」
「保険ですか」
「はい。20万円でした。母名義の簡易保険が……」
宅は言葉を失いました。
「そので、何をするつもりだったんですか」
はうなだれました。
「再婚しようとっていました。付きっている方がいて、支度や礼がるといまして……」
美奈代は信じられないという顔でを見つめました。
「兄さん、そんな理由だったんですか。私は、てっきり本当に追い詰められて、どうにもならなくなったのだと……」
は顔をげることができませんでした。
すべての供述がそろいました。
201510、検察は佐倉を尊属殺および体遺棄の容疑で起訴しました。古美奈代も、犯隠避および犯幇助の容疑で起訴されました。
公判は1かに始まりました。
法廷には、の弟である佐倉英と、妹の佐倉文の姿もありました。2は、いを経てようやく見つかった母の真実を聞くために、傍聴席に座っていました。
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文は証言台で涙を流しました。
「兄を信じていました。本当に母を切にしているだとっていました。それなのに……」
英もまた、唇を震わせながら語りました。
「兄は、私たち以に母を切にしているとっていました。親孝な男だと。でも実際は、おのため、再婚の支度のために、母の命を奪ったんです」
は被告席でくうなだれていました。
27、親孝な男を演じ続けた男。
母の祭壇に酒を供え、涙を流し、所の々から同されてきた男。
その仮面は、1枚の記録、1枚のき台帳、そして1の証言によって剥がされました。
裁判所は厳しい調で判決を読みげました。
「被告佐倉は、実母の命を奪い、27にわたってこれを隠し続けたものである。そのは銭利益を求めるものであり、極めて悪質である」
そして、主文が告げられました。
「被告を懲役15に処する」
はくうなだれました。
古美奈代には、懲役5、執猶予3が言い渡されました。犯にを貸したものの、直接命を奪ったわけではなく、27罪の識に苛まれてきた点が考慮された結果でした。
判決の、佐倉ミサの遺骨は菩提寺の墓に納められました。
英と文は、母の墓でいつまでも涙を流していました。
「お母さん、ようやくお休みになれますね」
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27の歳を経て、ミサはようやく族のもとへ帰ってきたのです。
宅巡査部も墓を訪れました。を束供え、しばらく黙祷しました。
のが吹き、落ち葉が墓のにひらりと落ちました。
2016の、刑務所に入ったは、弟と妹に宛ててをきました。
謝罪の言葉が並んでいたといいます。
けれど英と文は、そのを封しませんでした。
封を切らず、そのまま送り返しました。
許しというものには、どうしても届かない所があります。
事件は、そうして静かに幕を閉じました。
1988、輪の気ので姿を消した1の老女。
27もの伏せられていた真実。
それを最にるみに引きずりしたのは、1枚の記録、1冊の乗券台帳、そして1の良でした。
どれほどく隠しても、真実はいつか表に現れます。
佐倉ミサの墓には、こう刻まれました。
「佐倉ミサ らかにお眠りください」
正5から昭63まで。
そのには、さな字でもう1が添えられていました。
「27のを超えてお帰りになったあなたを、に刻みます」
親孝とは、見せかけではありません。
供養のふりでも、涙の演技でもありません。
本当に切なを守るのことです。
最もしい者が、最も恐ろしいになることもある。
この事件は、その事実を静かに告げています。
そして同に、どんなにが流れても、真実を追うがいる限り、に埋もれた声は完全には消えないのだと教えているのです。
佐倉ミサは27、ようやく帰ってきました。
い沈黙を破り、真実とともに。
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