"実家ホテル終了の日" 第5話
「温泉もあるわ。事も評判がいいみたい」
1泊3万円。
以ならし贅沢だとったかもしれません。けれど、そのの私は迷いませんでした。
「ここにしましょう」
予約を完すると、議な揚が込みげてきました。
息子を締めすことが楽しいわけではありません。
けれど、私たち夫婦が自分たちのを切にすることは、決して違いではないとえました。
旅、約束通り鍵交換の業者が来ました。
作業は際よくみました。玄関の古い鍵がされ、しい子ロックが取り付けられていきます。
「暗証番号はこちらで設定してください」
業者に端末を渡され、私は慎に番号を入力しました。私と夫の誕を組みわせた、私たちだけの番号でした。
「これで完です。古い鍵はすべて無効になりました」
業者が帰った、私はしい鍵のにちました。
試しに番号を押すと、ピッという子音が鳴り、かちりと鍵がきました。
その音を聞いた瞬、胸の奥がすっと軽くなりました。
「これで私のは、私たちのに戻ったのね」
夫がろから私の肩にを置きました。
「悔はないか」
私は静かに首を横に振りました。
「まったくないわ。むしろ、すっきりしている」
そのの夕方、私たちは旅バッグをにをました。
玄関を閉めるに、私は度だけのを振り返りました。
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直を育てた々。笑い声。泣き声。族の卓。
いは消えません。
けれど今は、しい歩を踏みすでした。
その夜、私たちは予約したホテルのラウンジにいました。
きな窓のには、の夜景が広がっていました。のかりが宝のようにきらめき、くのの輪郭が夜空に溶け込んでいます。
夫と私は、ワイングラスを静かにわせました。
「こんなに落ち着いたを過ごすのは久しぶりだな」
夫が微笑みました。
「ええ、本当に」
私はグラスを傾けながら、スマートフォンをテーブルの端に伏せて置きました。
その頃、がのにはレンタカーがまっていたはずです。
直、百さん、2の子ども、そして百さんの両親。計6。
の移で疲れ切ったが、ようやく到着した頃でしょう。
「やっと着いた。疲れたな」
直はからり、きく伸びをしたはずです。
「無料で泊まれるなんて本当に助かるわね」
百さんの母親が、娘に向かってそう言ったかもしれません。
「でしょ?主の実だから慮なく使えるのよ」
百さんも、得げにそう答えたのでしょう。
もし私がそのでその会話を聞いていたら、どれほど傷ついたでしょうか。
けれど、そのの私はホテルのかな照のにいました。
方、直は玄関のにち、いつものように植鉢のを覗いたはずです。
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「……あれ?」
鍵はありません。
直が玄関の扉を見げると、そこには見慣れない子ロックのパネルが取り付けられていました。
「鍵穴がない」
その声に、百さんたちが集まってきたでしょう。
「どういうこと?鍵、替えたの?」
「聞いてないわよ」
百さんは植鉢のを何度も確認したはずです。
けれど、そこには何もありません。
直は慌ててスマートフォンを取りしました。
私のスマートフォンは、ラウンジのテーブルので静かに震えました。
1件目。
2件目。
3件目。
画面には直の名が何度も表示されました。
夫がちらりと見ました。
「ないのか」
私はゆっくり首を横に振りました。
「今は私たちのだから」
夫はそれ以何も言いませんでした。
話は鳴り続けました。
10件、20件、30件。
やがて百さんからも着信が来ました。メッセージも届きました。
「お母さん、鍵がありません」
「どういうことですか?」
「子どもたちが寒がっています」
「く連絡してください」
私は画面を見つめました。
がまったく痛まなかったと言えば嘘になります。孫たちが寒がっていると聞けば、胸は揺れました。
けれど、それを利用するように、最初から準備も確認もせず、私たちを無料の宿として扱ったのは直たちです。
子どもたちの全を本当に考えるなら、親である直たちが宿を確保するべきでした。
私はスマートフォンを伏せ、ワインをみました。
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