67歳の介護福祉士・日高恵子は、ある日、息子夫婦の家を訪ねて凍りつく。 玄関の隅にいたのは、5歳の孫・蓮。パジャマ姿のまま震え、涙で顔を濡らしていた。 「パパとママ……海外旅行に行くって」 家の中は散らかり、冷蔵庫はほとんど空。食べ物もなく、鍵も開いたまま。蓮は前日の夜から、たった一人で放置されていた。 これまで恵子は、息子夫婦のために家の頭金や車代、育児支援として合計900万円もの援助をしてきた。孫の面倒も頼まれるままに見てきた。 だが、息子夫婦が選んだのは、幼い我が子ではなく海外旅行だった。 怒りに震えながらも、恵子は感情だけでは動かなかった。介護現場で培った経験をもとに、家の状態、孫の証言、近隣住民の話、通院記録、そしてSNSの投稿を一つずつ証拠として残していく。 一週間後、豪華な旅行から笑顔で帰国した息子夫婦。 しかし玄関の向こうで待っていたのは、祖父母だけではなかった。 警察、児童相談所、弁護士、そして逃げ場のない証拠の数々。 「親だから許される」 そう思い込んでいた二人に、母として、祖母として、恵子が下した決断とは――。