"実家ホテル終了の日" 第7話
「私たちはもうし旅を楽しむわ。あなたたちも、自分たちで計画した旅を楽しみなさい」
そう言って、私は話を切りました。
夫が私のをそっと握りました。
「よく言えたな」
私はさく笑いました。
「ようやく言えたわ」
窓のには、澄んだ青空が広がっていました。
その、私たちは温泉に入り、美しい鮮料理をべ、景のを2で散歩しました。
「こんなに自由で幸せな旅は久しぶりね」
私が言うと、夫は微笑みました。
「息子に気を使わなくていいだけで、こんなに楽なんだな」
私たちはをつないで歩きました。
たい空気ので、夫のの温かさだけが確かでした。
旅から帰って1週、玄関のチャイムが鳴りました。
モニターを見ると、直がっていました。1でした。ぶらではなく、さな菓子折りを持っていました。
私は夫と顔を見わせました。
夫は静かに頷きました。
私は玄関へ向かい、しい子ロックを解除しました。
かちり、という音が響きました。
ドアをけると、直は疲れた顔でっていました。
「母さん」
その声は、以よりもさく聞こえました。
「入りなさい」
私はそう言って、直をリビングに通しました。
向かいって座ると、直はしばらく黙っていました。膝ので両を組み、何度も線を落としました。
やがて、くをげました。
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「母さん、父さん。本当にごめん」
私は黙って聞いていました。
「俺たち、母さんたちを都よく使おうとしてた。ホテル代わりにして、謝も何もなかった」
直の声は震えていました。
「でに入れなかった、最初は腹がった。でも、百の両親にも責められて、16万円も払って、子どもたちにも寒いいをさせて……そこで初めて気づいたんだ」
直は顔をげました。
「母さんたちが今までどれだけ俺たちに尽くしてくれていたか。それを俺がどれだけ当たりだとっていたか」
私は静かに息を吐きました。
「気づいてくれたのね」
「遅すぎたけど」
直は苦笑いを浮かべました。
「本当に恥ずかしい。母さんのなのに、俺は自分のものみたいに考えてた。実なんだから使って当然だって」
夫がい声で言いました。
「直、親のは、おの無料宿泊施設じゃない」
「はい」
直は素直に頷きました。
「これからはちゃんと族として付きいたい。母さんと父さんを、として尊したい」
その言葉を聞いて、胸の奥にし温かいものが戻ってきました。
すべてがすぐに元通りになるわけではありません。
けれど、なくとも直は、自分のしたことを見ようとしていました。
私はしだけ微笑みました。
「次からは、来るにちゃんと相談しなさい」
「うん」
「泊まるなら、私たちの都を確認すること」
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「分かった」
「それから、宿泊費もちゃんと払ってね」
直が驚いた顔をしました。
その瞬、夫がさく吹きしました。
「冗談だ。ただし、謝と礼儀は必だ」
直も、しだけ笑いました。
それは久しぶりに見る、息子らしい表でした。
そのから、直との関係はしずつ変わりました。
訪問には必ず連絡が来るようになりました。
「今度の曜、し顔をしてもいい?」
「そのはかける予定なの」
「じゃあ別のにするよ」
そんな当たりのやり取りが、ようやくできるようになったのです。
百さんからも、、丁寧な謝罪の話がありました。
「お母さん、本当に失礼なことをしました」
その声には、以のような当然という響きはありませんでした。
私たちは、以よりし距を置くようになりました。
けれど、その距はたいものではありません。
互いを尊するために必な距でした。
ある夕方、夫と2で縁側に座っていました。庭のバラはし季節を過ぎていましたが、それでも静かにを残していました。
「これでよかったのかしら」
私が呟くと、夫は庭を見ながら言いました。
「よかったんだよ。親が子どもにできることは、何でも許すことじゃない。違ったに、違っていると教えることも親の役目だ」
私は頷きました。
玄関の方から、かすかに子ロックの音がしたような気がしました。
かちり。
あの、鍵を替えたの音。
それは息子を拒絶する音ではありませんでした。
私たちの尊厳を守る音でした。
族であっても、越えてはいけない線があります。
親であっても、都よく使われ続ける必はありません。
私は夫のを取りました。
「ここから先は、私たちのね」
夫は静かに微笑みました。
夕暮れのが、2のを庭にく伸ばしていました。
私たちのは、ようやく私たちの所に戻ったのです。
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