"退職金三千万円と残高三千円の通帳" 第6話
そのの夜、正隆から再び話が来ました。
私は呼吸をして、録音を起してから話にました。
「もしもし」
「玲子、まだにう。本物の通帳をせ」
番、それでした。
謝罪でも説でもありません。
本物をせ。
の通帳を持ちしておいて、まだ命令できるとっている。その覚が、もう私には理解できませんでした。
「本物とは、退職が入っている座のことですね」
「そうだ。あれがないと困るんだよ」
「困る?」
「あれがないと、の保証が払えないだろう」
私は湯呑みを持つを止めました。
ました。
正隆自のから。
の保証。
話の向こうで、正隆の息が止まりました。自分で言ってしまったことに、ようやく気づいたのでしょう。
「誰のおですか?」
「おには関係ない」
「私の退職を使う予定だったなら、関係あります」
「夫婦のだろう」
「婚届を置いてていったが、まだ夫婦のと言うんですね」
「それは形だけだと言っただろう!」
「形だけの婚届と緒に、通帳と印鑑を持ってていったのですか?」
正隆の声は荒れていました。っているだけではありません。焦っているのが分かりました。
通帳には3187円しか入っていなかった。の保証が払えない。誰かに話が違うと言われている。
その焦りが、言葉の端から漏れていました。
「正隆さん、そのおは、みおさんという方のおですか?」
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話の向こうが静まりました。
今度の沈黙は、さっきよりいものでした。
「誰から聞いた?」
「あなたのスマートフォンに通がていました。“おの件、本当に楽しみにしてるね。今度図面見せて”と」
「勝に見るな!」
「リビングのテーブルに置いてあった画面に表示されただけです」
「お、いつからそんな嫌な女になったんだ?」
「自分の退職を守ろうとしたら、嫌な女になるのですか」
「みおは関係ない」
「では誰のの保証ですか?」
「俺のしいのためだ」
私は静かに息を吸いました。
しい。
43働いた私の退職を、自分のしいのために使うつもりだったのです。
しかも、婚届を置いて、妻の通帳を持ちしたに。
「私の43分を、あなたのしいに使う予定だったんですか?」
「夫婦で築いただろう」
「私が会社で働いて受け取った退職です」
「おは昔からそうだ。理屈ばかり並べて、夫をてない」
「夫をてることと、通帳を差しすことは別です」
正隆はしばらく荒い息をしていました。
そして声をし落としました。
「玲子、頼む。今ならまだにう」
「何ににうんですか?」
「みおがってるんだよ」
自分で名をしました。
私はスマートフォンをに当てたまま、目を閉じました。
「みおさんがっている」
「あいつ、3000万円がすぐかせるとってたんだ」
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「そう伝えたのは、あなたですね」
「夫婦なんだから使えるとうだろう!」
「使えるとったのではなく、使うつもりだったんですね」
また沈黙です。
もう分でした。
の保証。みおさん。しい。3000万円をすぐかせるとっていた。
必な言葉は、正隆自のからました。
「今のご連絡は、青弁護士を通してください」
「待て、玲子。俺は騙されたんだ」
「誰にですか?」
「みおにだよ。がないと分かったら態度が変わったんだ」
りよりも先に、呆れが来ました。
私の退職を使って別の女性とを始めようとしたが、今度は自分を被害者にしているのです。
「みおさんがあなたをどう扱ったかは、私には関係ありません」
「俺を見捨てるのか?」
「私を見捨てるつもりで婚届を置いたのは、あなたです」
そう言って、私は話を切りました。
録音ファイルにタイトルをつけます。
「正隆・の保証発言」
それを青先へ共しました。
その直、先から返信が来ました。
「な録音です。保してください。退職だけでなく、企業や今の振り込み先も確認してください」
企業。
私はにも先から同じことを言われていました。
玄関の郵便受けを、まだ確認していないことに気づきました。
郵便受けのには、チラシ数枚と、退職まで勤めていた会社の企業基からの封筒がありました。
封筒には、青い文字でこう押されていました。
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