"妻のポーチから見つかった結婚指輪" 第1話
おい、これは体何だ?
張から帰ってきた妻の荷物を片付けていた私は、見慣れない黒い箱を見つけた。洗濯にすため妻の着が詰められたポーチのファスナーをけたのことだ。
その奥底に、それはまるで絶対に目に触れてはいけないもののよう、厳に隠されていた。震えるで箱をけると、には見らぬ男の結婚指輪と「田弓」と名のかれた預通帳が入っていた。
妻の苗字は林だ。このの私はまだらなかった。私がをかけて守ってきたはずの妻が、私を裏切っているだけでなく、私ののすべてを奪い取ろうと計画していたことを。
夜の静寂、計の針は午 1 を回っていた。妻の弓は 2 泊 3 の阪張から数に帰宅し、逃げるように呂に入ると「ごめんなさい、荷物は片付けるから」と言い残し、のように眠り込んでしまった。
私は眠り込んだ妻に毛布をかけ、リビングに残されたキャリーケースを眺めていた。普段なら妻の言葉通り、までをつけることはない。だが今は異常な湿気で汗の染みた類を晩放置するのが気になった。
私は善からキャリーケースをけ、洗濯物を取りし始めた。シャツやブラウスを洗濯に放り込み、最に残ったのがの見えない布製ポーチだった。
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に着が入っていると分かっていたが、連れ添った夫婦、今更照れることもない。
そのまま洗濯に入れようとした瞬、ポーチの底に自然ない触が指に伝わった。アクセサリーケースのようなさで、化粧品にしてはすぎる。議にいファスナーをけ、を探った。
レースの着の隙に、さな黒いベルベットの箱が押し込まれていた。目でアクセサリーボックスだと分かる。なぜ着の奥にこんなものを隠している?嫌な予が胸を過り、鼓が激しく速まるのをじながら息を殺し、箱の蓋をけた。
には鈍く輝くプラチナの指輪が丁寧に収められていた、男性用のシンプルな結婚指輪。私のものではない、私の結婚指輪は今も薬指に嵌まっている。デザインもまったく違う、品の指輪だ。
震える指でつまみげ内側を覗き込むと、細い文字が刻印されていた。「健・藤・弓」。
その名を見た瞬、私ののが真っになった。弓は妻の名、では健とは誰?張先でこのらない男と指輪を交わしたというのか?混乱しながら箱の底を見ると、つ折りにされた別のものが入っていた。
緑のい冊子、預通帳だ。そっと広げ表を見て、信じられない名に息が詰まった。田弓。妻の苗字は林、田など聞いたこともない。
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まるで妻がすでに別の男と再婚し、しい姓を名乗っているかのような気な通帳だ。
乾いた唾をみ込み通帳のページをめくると、記載された数字に全の血が凍りついた。残欄には 2150 万円とかれていた。この額に私はあまりにも見覚えがある。
20 以、毎料からしずつ、ボーナスもすべてつぎ込んで貯め続けた、夫婦の老資の座残と、1 円単位まで完全に致していた。
私は堅械メーカーの営業部、今 52 歳。妻の弓は 48 歳、化粧品会社勤務、最エリアマネージャーに昇したばかり。結婚して 22 になる。娘の奈緒は今学を卒業し、暮らしの社会になった。
子育てが段落し、やっと夫婦だけの穏やかなが来るとっていた。私は仕事に打ち込む妻をから応援し、の半分が張でを空けても度も文句を言わず事を伝ってきたつもりだ。
昼代を切り詰め、同僚とのみ会を断り、趣のまで諦めて貯めた老資。退職、で温泉旅へき、穏やかな老を過ごすための、私のをかけた貯だった。
なぜこのがらない田名義の通帳に入っている?取引履歴を遡ると恐ろしい事実が浮かびがる。毎私の座から引きした活費の部が、巧みにこの座に送されていた。
さらに半から数百万円単位のが数回に分けて移されていた。
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