"妻のポーチから見つかった結婚指輪" 第2話
これはただの浮気じゃない。妻は綿密な計画のもと、私の全財産を自分の裏座に移し替えていた。「田弓」という名のを悟り、崩れ落ちそうな体を必に支え寝へ向かった。
ドアをしけると、接照の暗いの、妻が穏やかな寝息をてて眠っていた。22 し信じ続けた女、娘の卒業式で涙を流し「あなたのおかげよ」と微笑んでくれた妻の顔。
今の私にはその姿が、得体のれない恐ろしい化物に見える。私の隣で穏やかに笑いながら、裏で私のを奪う準備を淡々とめていたのだ。
私は息を潜めリビングへ戻った。底れぬ絶望と恐怖が全を支配する。だが今、に任せて妻を起こし問い詰めても無駄だ。彼女は巧みな言い訳で逃げ切るだろう。
この指輪と通帳のがバレたとれば、残りの財産もすべて隠し、私を文無しでから放りすに違いない。
震えるでスマホを取りし、シャッター音を消すカメラアプリを起。通帳表、刻印の指輪、すべての取引履歴をピントがぶれないよう慎に枚ずつ撮した。や汗が額から滴り落ち、スマホ画面を濡らす。
すべて証拠撮り終え、指輪と通帳を元の黒い箱に戻し、再び着ポーチの奥く隠した。何事も見ていなかったふりをし、洗面台の鏡のにち自分の姿を見た。
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鏡に映るのは、妻の裏切りに打ちひしがれ、憔悴しきった男だ。どうしてこんなことに?私に何か落ち度があったのか?ただ族のために必に働いてきただけなのに。
その、リビングテーブルに置かれた妻のスマホがさくバイブし、画面が点灯した。反射に線を向けると、ロック画面にメッセージアプリの通が表示されていた。
普段なら妻のスマホを盗み見る真似は絶対にしない、だが今の私には見る権利がある。ゆっくりテーブルにづきる画面を見ろす。
通文にはこうかれていた。
「の朝、あいつが仕事にたら話するね。してるよ」
差の名を見た瞬、呼吸が止まり、声にならない鳴が喉に詰まった。表示されていたのは、学代からの親友、今もに度酒を酌み交わす男 —— 田健の名だった。
妻のスマホに浮かんだその名を見て、私はち尽くし息も忘れた。学サークルから番信頼していた、エリートとして順調にきる親友。なぜ健が妻に「してる」とメッセージを送る?
指輪に刻まれた「健・弓」、田弓名義の通帳、すべての点が恐ろしい本の線で繋がる。妻の弓は私の親友・田健と倫しているだけでなく、健と再婚するため着々と計画をめ、私の老資をすべて奪おうとしているのだ。
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音をてないようゆっくり移し、ソファに力なく座り込む。脳の芯が麻痺して覚が失われ、たい汗だけが背を伝って流れる。
健とは学テニスサークルでりった。彼は華やかで自信に満ち、常にのにいる男。私は目たない真面目な性格だったが、なぜか気がい、卒業も何かにつけみにく親友同士だった。
弓を私に紹介したのも私自だ。25 、コンでりった弓に目惚れし、付きうに健に相談した。
「真面目でおとなしそうな子だな、おによく似う」と健は笑って背を押してくれた。結婚式では健が友代表のスピーチを担当した。
「誠は本当に誠実な男です。弓さん、もし彼を泣かせるようなことがあれば、僕が許しませんよ」
あの言葉は体何だったのか。計は午 3 を回ろうとしている。寝から妻の穏やかな寝息が漏れ、その音を聞くたび胃の奥から吐き気が込みげてくる。
結婚 22 、誰が見ても平穏で幸せな族だったはず。仕事柄残業や張がかったが、休は必ず族のに費やした。娘の奈緒が幼い頃は遊園やキャンプへ連れてき、妻の誕や結婚記には豪華ではなくても必ずプレゼントを用した。
私はで甘い言葉は言えない男、だが妻と娘の笑顔を守るためならどんな苦労も厭わなかった。
奈緒が学になった頃、弓は「娘の学費のしにしでもなれば」鼓の速まりを必に抑え、無表を装って振り返る。
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