"24年目の手紙" 第12話
その隣には、系の女性と、さな女の子がを繋いで歩いていました。 男の目が、到着ロビーに集まる群衆をゆっくりと見渡しました。そして、よし子の姿と真っ正面から目がいました。
あの目でした。よし子には、その目が目で分かりました。幼い頃、卓ので「美しい」と言ってキラキラと輝いていた目。真っなスニーカーを履いて、を駆けりながら笑っていた健の目でした。24という歳が経ち、目元にシワができてみが増していましたが、その目のにある優しいは、あの頃と全く同じものでした。
健がピタリとを止めました。よし子もまた、そのにち尽くしました。そして次の瞬、同に2がきしました。 健がカバンを放りすようにしてりました。67歳になったよし子も、なりふり構わずりました。そのわずかな距を、2は互いに向かってで駆け抜けたのです。
健が、さなよし子の体をく抱きしめました。よし子の肩が、背が、昔に比べてどんなにさくなっていたか、体がどんなに軽くなっていたか、健はその腕ので痛いほどにじ取りました。夜けから夜遅くまでのために働き続けていた母の体が、24という気のくなるような待ちを耐え抜いてきたその背が、こんなにもさく、脆くなってしまっていたのです。
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健は何か言葉を掛けようとしましたが、喉が激しく詰まって、結局何も言葉にできませんでした。ただ、涙を流しながら、母親の体をくく抱きしめているだけでした。よし子は息子の広い背にを回し、幼い健を寝かしつけるのように、トントン、トントンと優しく叩きました。空港内が、静かにどよめきました。通りすがりのくの々がを止め、その奇跡の景を涙ぐみながら見つめていました。しかし、誰もその親子のを急かそうとする者はありませんでした。
しばらくして、よし子が先にゆっくりと体をしました。流れる涙を粗末に拭い、健の顔をおしそうに両で包み込みました。おでこ、眉毛、頬、そのすべてをのひらで何度も撫で回しました。健はその母親ののぬくもりので、静かに目を閉じました。 「きくなったね、健……」 よし子が呟くと、健が泣きながら笑いました。そのクシャッとした笑顔は、12歳の頃の健と全く同じでした。
に帰り、よし子はリビングのテーブルで呂敷をほどき、タッパーを取りしました。蓋をけると、黄が1つも崩れていない、あののままの目玉焼きが並んでいました。健は箸を持ちげましたが、それを見つめたまま、がピタリと止まりました。しばらくの、おしそうにそれを見つめてから、ゆっくりとに運びました。
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そして、い、何も言わずに咀嚼していました。 「お母さん……美しいよ」 よし子は息子のに座り、涙を拭いました。 「そう、良かったわね。美しいのね」
そのの夕方、よし子は部の引きしから、古い赤いノートを取りしました。そして、健のに静かに差ししました。健がそのノートを両で受け取りました。本の輪ゴムが古くなって、パチンと切れてに落ちました。子供のぎこちない跡で、付と銭の額がびっしりとかれた、あのいのノートです。
健のが、ページをめくる途で止まりました。最のページをいた、そのの隙に、ピカピカに磨かれた50円玉が1枚、静かに入っていました。 よし子が息子の顔を見つめ、優しく言いました。 「お母さんが、そこに入れておいたのよ。あなたが、あのあと50円りなかったでしょう?」
健はその50円玉を自分ののひらに乗せ、い、じっと見つめていました。そして、次の瞬、声をげて泣き崩れました。39歳になったの男が、よし子の胸に顔を埋めて、のように声をげて激しく泣いたのです。よし子は息子の広い背を、また優しく叩きました。 「トントン、トントン……」
娘のさゆりが、議そうな顔をしてよし子のそばにづいてきました。そして、さなでよし子の太い指をそっと握りしめました。
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