"録音機が暴いた義実家" 第2話
私が慌てて洗面所のドアをけ、声をかけると、弓は弾かれたようにビクッと顔をげ、慌てでパジャマの袖を使って涙を乱暴に拭った。彼女は充血した目を泳がせながら、必に声をえた。 「あ、ごめんなさい……たかし君。私、起こしちゃったよね、本当にごめんなさい」
「起こしちゃったじゃないよ。なんでこんな暗いところで、1で泣いているんだ? どこか体が痛いのか?」 私が配になって彼女の肩に触れようとを伸ばすと、弓はわずかにを引いて私のを避けた。そして、無理に作ったような、痛々しく引きつった笑顔をその顔に浮かべたのだ。 「ううん、違うの。ちょっと、最疲れがちゃっただけなの。夜になったら、急に変なになっちゃって。ごめんなさい、変だよね」
「疲れたって……実にくのが、君の負担になっているんじゃないか? もしそうなら、無理してあそこにかなくていいんだぞ」 私が彼女の顔を覗き込んでそう言うと、弓は勢いよく首を横に振った。 「そんなことない! お義母さんたちには、本当によくしてもらっているよ。ナナのこともすごくがってくれるし。ただ、私の容量が悪くて、勝に疲れてしまっただけなの。配かけちゃって、本当にごめんなさい」
弓はそれ以、頑なに何も言おうとしなかった。
次のの朝も、弓は何事もなかったかのようにるいの差し込む台所にち、フライパンで目玉焼きを焼いていた。
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「ママ、今のご飯もすっごく美しいね!」 さなナナが卓で無邪気に笑うと、弓も「良かったね」といつも通りの優しい声で微笑み返していた。
しかし、その優しい目のには、お化粧をいくらねても隠しきれない、黒いクマがうっすらと浮かびがっていた。私はどうしても、胸の奥のモヤモヤとした審を拭いることができなかった。
弓は実で「よくしてもらっている」と言うが、私はあそこでの母の浩子と妹の美穂の態度をひとつひとつい返してみた。
母の浩子は、いつも私のではニコニコと穏やかな笑顔を絶やさない。弓が台所でお茶を淹れている姿を見ると、浩子は私の隣に座り、嬉しそうに語りかけてくる。 「ゆみさんは、本当によくできたお嫁さんね。たかしは良いを奥さんにもらって幸せよ」 そう言って、いつも弓のことを褒めちぎっていた。
実に同居している妹の美穂も、お産の箱をけながら、のいい声を響かせていた。 「お義姉さん、このケーキ、すっごく美しいからくべてくださいね」
私の目から見る限り、嫁姑や姑との関係は、これ以ないほどうまくいっているように見えていた。だからこそ私は、族みんなが仲良くやってくれているのだと、呑気にしきっていたのだ。
だが最になって、そののんきなに、さなひびが入るような来事がて続けになっていた。
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例えば、実から弓のスマートフォンに話がかかってきたのことだ。画面に「義母」という文字が表示された瞬、リビングにいた弓の肩がビクッときくねがり、彼女の顔からすっと血の気が引いていくのを、私はではっきりと目撃した。
弓は慌てて私に背を向け、逃げるようにしてベランダにて話にた。窓ガラス越しに見える彼女の背は、まるで何かに怯えるようにさく縮こまり、受話器に向かって何度も何度も、ペコペコとをげ続けていたのだ。
また、実に滞している、私がふと廊から台所を覗き込んだのことだ。弓が1で量の器を洗っている背から、妹の美穂が至距で何かをく呟いていた。私が「どうした?」とへ声をかけると、美穂は瞬で華やかな笑顔を作り、るい声を返してきた。 「ううん! お義姉さんに、洗剤の置き所を教えてあげてただけだよ」
しかし、声をかける直、美穂が弓の背に向けていた線は、まるで氷のようにたく、酷に見すような嫌悪に満ちていたように私には見えたのだ。気のせいだといたかったが、その瞬に見せた、弓のあの怯えきったような青い横顔が、どうしても私のかられなかった。
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